第一志望の企業から内定を勝ち取った瞬間は、長い転職活動の疲れも一気に吹っ飛びます。しかし、内定が出たことが「転職の成功」ではありません。内定後の流れや注意点を知らないままだと、せっかく勝ち取った内定を無駄にしてしまうリスクがあります。
内定後の基本的な流れ 3ステップ
1:内定の連絡
内定通知は電話やメールで来るのが一般的です。いつ、どの番号・アドレスから来るかわからないので、着信拒否や迷惑メールの設定は十分確認しておきましょう。何度も連絡がきているのに、通じないことで内定取り消しになる可能性もあります。不採用の場合はメールで来ることが多いです。
電話で内定通知が来る場合、その場で入社意思の確認がされることもあります。承諾するか保留するか、あらかじめ決めておきましょう。曖昧な返答をしてしまうと、コミュニケーション力や真摯さが疑われ、印象が下がります。
2:面談~雇用契約書へサイン
入社の意思を示したら、面談と雇用契約書へのサインのステップに進みます。この面談はオファー面談とも言われ、入社後の具体的な労働条件を最終決定する場になります。求人情報に書いていた条件や自分が希望していた条件と、雇用契約書の内容が違う場合は、こちらから交渉をすることも必要です。転職後に後悔するので、譲れない条件は妥協しないようにしましょう。
なお、雇用契約書(もしくは労働条件通知書、雇用通知書)は、法律によって内定者への明示が定められています。相手企業からの提示がない場合は、確認させてもらうようにお願いしましょう。
3:入社手続き~入社
関連書類を提出して入社手続きを進め、入社日を決めます。相手企業が「○月○日には入社して欲しい」と希望すれば、その日にできるだけ合わせましょう。ただ、今の会社を退職していない人は、その旨を相談して猶予をもらうことも可能です。
相手企業は内定者が円満に退職できるように配慮してくれるはずです。その場合、「いつまでには退社できる」という具体的な日を、こちらから提示するようにしましょう。
内定後の3つの注意点
これらの流れを踏まえて、気をつけるべき点をいくつか挙げておきます。
○内定承諾書にサインした後の辞退
内定承諾書にサインした後であっても辞退することは可能です。もちろん、違法でもありません。ただ、相手企業や転職エージェントに迷惑がかかることになります。特に企業は膨大なコストと時間をかけて採用活動を行っています。中途採用にかかるコストは300〜400万円とも言われます。そのことを忘れず、社会人としてのマナーを守って失礼のないように辞退の旨を伝えましょう。
○必要書類の準備
入社前に求められる必要書類を、先に準備しておくこともおすすめします。すぐに提出できれば、「段取りがいい人」という良い印象を与えることができるはずです。
必要な書類の例としては以下のようなものがあります。
- 年金手帳
- 給与振込口座のコピー
- 源泉徴収票
- 扶養控除等申告書
- 健康診断書
- 卒業証明書(第二新卒や既卒の場合)
企業が用意する用紙にこれらの内容を記入することが必要となる場合もあるので、できるだけスムーズに記入できるように、関連する書類を準備しておくことが大切です。
○メールで質問する際のマナー
企業によっては内定後の面談がない場合があります。また面談があっても、緊張から、聞きたいことを聞きそびれることもあるでしょう。そんな時は、気になることをメールで質問するのも失礼には当たりません。件名を「入社後の処遇に関するご質問」として、ビジネスマナーに則って問い合わせましょう。
聞きたいことが複数ある場合は、番号を振って箇条書きにするなどして、採用担当者が読みやすいように工夫するのがコツです。最後に自分の連絡先を記載することも忘れずに。
複数企業に内定して、辞退する場合
めでたく複数の企業から内定をもらえる人もいるでしょう。ですが、入社できる企業は誰しも1社のみ。第一志望以外の企業には、必ず辞退の連絡をしなければなりません。担当の転職エージェントが連絡してくれる場合もありますが、自分でする必要があるケースもあるので、基本の流れはぜひ知識として覚えておきましょう。
内定が出た後は、できるだけ早く辞退の連絡をするのがルールです。内定の連絡を受けてから1週間までが限度と考えておきましょう。ただし、企業に保留を伝えた際に、「3日以内に連絡が欲しい」などと言われた場合は、その期限に従うのが一般的です。
保留・辞退する場合の言葉遣いにも十分注意が必要です。「第一志望の結果が出るまで待ってほしい」、「労働条件に納得できなかった」といった素直すぎる表現は、逆に失礼に当たるのでNGです。「個人的な事情で」、「熟考した結果」など漠然とした理由で問題ありません。

作成:尾崎 海(おざき かい)
東証一部化学メーカー(営業職)から転職を経てライターに転身。就活・転職活動で悩んだ自身の経験を活かし、求職者や仕事で悩んでいる人に向けた記事をメインに執筆中。
作成日 2018/09/06