大同工業株式会社
こんなに沢山の願いが叶うなんて、思ってもみなかった。

こんなに沢山の願いが叶うなんて、思ってもみなかった。

H・Eさん(38)
2012年入社
前職:トラックドライバー
現職:エレベーター据付職人

どんな仕事なのか、初めは全然イメージできなかった。

ー前職は?

都内でトラックドライバーをしていました。

ー元々は東京の方なのですか?

生まれは千葉なのですが、住んでいたのは幼少の頃だけで。仕事は東京で始めました。

ーどんなきっかけで今の会社に転職してきたのですか?

千葉に住んでいた祖母が亡くなった時に、千葉に戻ろうと決めたんです。ここで何かしたいとか、そういう明確なものがあったわけではありません。ただ、千葉に住むということは決めて、じゃあ仕事も探さないと、ということで、千葉で仕事を探し、大同工業の求人を見つけました。でも、エレベーターの設置をすると言われても、具体的にどんなことをするのか、初めは全くイメージできませんでした。

ー何が決め手になって、この仕事を選んだのでしょうか。

生まれ育った市原に住むということは決めていたので、その近くで働けるというのは前提としてありました。それと、色んな現場に行けるのがいいなと思いました。工場勤務とかだと、基本的には同じところで仕事することになると思うのですが、それがちょっと苦手で。色んなところに行って仕事できる方が性に合ってるんです。その上で、最終的に決めたのは、ここなら手に職つけられると思ったからです。

ー実際にお仕事を始めてみて、いかがでしたか?

初めは、何もできない…と思いました。親方の仕事を見て覚えていったのですが、独り立ちのタイミングになって、いざ自分でやってみようとすると、何もできないんです。今まで何を見てきたんだろうって愕然としました。

ー難しいんですね。

難しかったです。

ーでも、その仕事を12年続けておられる。今は、どう思っていますか?

楽しいです。エレベーターの据付の仕事は「何でも屋」と言われたりするのですが、本当に手がける領域が広くて、溶接も、電気工事も、アンカードリルも、何でも自分でやります。だから初めは大変なのですが、できるようになると、自分の手で一つの仕事を仕上げていく充実感がすごく大きいんです。

一人で没頭できる仕事。エレベーターを設置する空間って、落ち着くんです。

ー初めて現場に入ったときは、どんなことを思いましたか?

何もかもが新鮮でした。エレベーターの裏側なんて見たことなかったですし。

ーどんな状態なのでしょうか。

エレベーターを据え付ける前って、太い煙突のような、垂直にのびる空間だけがあるんです。初めて入った時は「真っ暗だな…」と思いました。私たちが現場に入る段階では照明も何もついてないので、本当に真っ暗なんです。

ー照明もご自身で現場に?

そうです。自分で持っていって、ゴンドラに取り付けます。

ーゴンドラ?

はい、エレベーターを据え付けるための作業の多くは、垂直のトンネル空間にゴンドラを吊って行うんです。

ーゴンドラには何人かで乗るのですか?

いえ、一人です。エレベーターの据付は、搬入以外は基本的にぜんぶ一人でやります。

ーあの大きなエレベーターを一人で?

はい、そうなんです(笑)。私も初めは驚きました。でも、エレベーターの据付って、一人じゃないとできない作業なんです。

ーと言いますと?

まず、ゴンドラが小さいので一人しか乗れないんです。それに、エレベーターを入れる空間というのは、縦に高くて、横に狭い空間。高所にゴンドラを吊って作業している時に、万が一、工具などを落としでもしたらと考えると、ゴンドラの下に人を入れることなんて絶対にできないですし、仲間と一緒にできる作業は限られているんです。

ー確かに、言われてみるとそうですね。

この仕事は、閉所恐怖症と高所恐怖症の方は…たぶん向いていないと思います。高くて閉鎖的な空間で作業するので。ただ…

ーただ?

慣れると、すごく落ち着く空間なんです。完全に一人で、誰かに気兼ねすることもないですし、こんなに没頭できる環境はそうそうないと思います。工場や建設現場だと、普通はまわりに人がいて、音もして、という環境でモノづくりをすると思うのですが、エレベーターの据付は完全に一人の空間で作業できます。これは、この仕事の大きな魅力の一つだと思います。

ーどんな施設にエレベーターを設置するのですか?

駅とか空港とか、ビル、マンション、テーマパーク…本当に色々です。普段は絶対に入れないようなところにも入れるので面白いですよ。それに、いわゆる地図に残る仕事で、自分がつくったエレベーターがあちこちにあるので、見るたびにちょっと誇らしい気持ちになるというか、やりがいはすごく感じます。

ーちなみに、何階建てくらいまで扱うのですか?

20階建てくらいのビルはやったりします。

ー20階の高さでゴンドラに揺られる仕事って…映画のような世界ですね。

毎日やっていることなので普段は感じないですけど、特別な空間ではあると思います。私は嫌いじゃないというか、好きですね。

「芯出し」が大事。

ー据付は、どのような流れでやるのでしょうか。

まず、みんなで資材などを搬入します。エレベーターのカゴやドア部分など、大きなものはメーカーから直接現場に送られてくるので、ここで搬入するのは比較的小さなものや工具などが中心になります。全工程の中で唯一、仲間と一緒に助け合って作業する部分です。

ーこの後の工程は、基本的に一人での作業に?

そうです。いよいよ、実際に据付をする作業に入ります。

ー初めに何をするのでしょうか?

「芯出し」をします。エレベーター据付の仕事の中で最も重要な工程です。

ーどのようなことをするのでしょうか?

エレベーターを真っ直ぐに設置できるように、位置決めをするための作業なのですが、具体的には、ピアノ線の先に錘(おもり)をつけて、上から真っ直ぐに垂らします。地球の重力を利用して、エレベーターをどの位置に入れるかを見出すのです。この「芯出し」に失敗すると、エレベーターが真っ直ぐに設置できなくなり、結果、動かなくなってしまいます。

ーどのくらいまで誤差は許容できるのでしょうか?

プラスマイナス1mmです。私は、基本的に誤差ゼロにしようとしています。

ーすごい…!

エレベーターって、少しでも軌道がズレると動かなくなってしまうんです。それに、入口に隙間があると危険なので、ぴったり入れる必要があります。今度、エレベーターに乗るときに足元を見てみてください。隙間がほとんどないはずです。

ー確かに…そうですね。

あれは、隙間を1cm以下におさめるという決まりがあるんです。

ー1cm…

エレベーターの据付って、建設の一部というイメージがあると思うのですが、「動くもの」なので、自動車などと同じような安全管理が必要になるものでもあるんです。だから、色んな意味で精度がすごく重要で、その精度を出すために最も重要な作業が…

ー芯出し。

そうです(笑)

ー今まで何気なくエレベーターに乗っていましたが、すごい世界ですね。

実際に据付をしてみると、奥が深いなって感じます。12年やっていますが、私なんてまだまだです。

ー本当にすごい世界。芯出しの次は、どうするんですか?

壁面にレールを取り付けます。エレベーターのカゴ用のレール、カウンター(カゴと対になるオモリのこと)用のレールという順序で取り付けます。それから、各階のドア、巻き上げ機という順で設置して、次に制御盤を設置、電気の配線を施したら、オモリを積み込み、巻き上げ機にロープをかけて、オモリの反対側にエレベーターのカゴを組み立てます。

ー改めてお聞きしますが、それをぜんぶ一人で?

はい。

ーあとは、どのようなことをするのでしょうか。

ちゃんとエレベーターが動くかどうか、チェックします。緊張する瞬間です。

ー感動の瞬間ですね。

毎度、動くと「おお」と嬉しくはなりますね。

ー動かないこともあるのでしょうか。

あります。きちんと芯出しをしていれば、大きくずれることはないのですが、壁面も真っ直ぐではないし、数mm単位の誤差が生じることがあるんです。それを調整して、真っ直ぐにして、完成させていきます。

ーおつかれさまです…(思わず、そう言いたくなる)

いえ、ありがとうございます(笑)

沢山の願いを叶えることができた。

ーエレベーターの据付の仕事がこんなにも多岐にわたるものだとは想像できていませんでした。資格なども取得できるのでしょうか?

私は入社してから15の資格を取得しています。

ー15も!

ちなみに、ぜんぶ会社の全額支援で取得しました。できることが本当に増えたなと思います。今は後輩の育成をする機会も多いのですが、自分の技術もまだまだ磨きたいと思っています。

ー12年やっても、まだ技術を上げる余地があるのでしょうか。

沢山あります。まず、正確さは維持したまま作業スピードを上げるという意味で、まだまだ改善の余地があるし、スピードを上げるために、一発で正確な仕事をする技術をもっと身につけたいと思っています。

ー十分に正確な仕事をされていると思うのですが、もっと高みがあるんですね。

例えば、レールを支持するためのブラケットを取り付ける際など、水平器を使わなくても一発で、完璧に水平に取り付けできるときなどが最近あるんです。経験を積み重ねることによって身につけることができる、こういう技量をもっと高めて、気持ちのいい仕事をして、効率化も図っていきたいと思っています。効率的に仕事できれば、他の現場で後輩が困っている時など、すぐに助けに行けますしね。

ー職人の腕と温かさを感じます。素敵ですね。転職の際に考えた、手に職をつけたいという願いは叶いましたか?

叶いました。それも、自分が想像していたよりも遥かに高い水準で叶いました。今は、仕事が本当に面白いんです。

ー千葉の生活もだいぶ長くなったと思うのですが、プライベートも充実されているのでしょうか。

はい。現場は基本的に県内ですし、自宅近くで仕事できているので、プライベートも充実しています。収入も増えて生活が安定したので、マイホームも購入できました。

ーもしかして、戸建てを?

はい。

ー沢山の願いを叶えておられますね。

はい。初めは何をするのかさえよくわかっていなかった仕事ですが、ここで仕事することができるようになって本当によかったと思っています。沢山の願いを叶えることができています。

企業担当者の声

全くの異業種から転職し、今では深い知識からなる確実な技術で弊社では新人の教科書として誰もが認める存在です。一言話せば感じることができる彼の礼儀正しさと人当たりの良さは、技術だけではなく、お客様に対しても安心感を与える事ができ、施工管理にも挑戦してもらいたいと思っています。
今ある知識と彼の人柄で、今後は若手育成にもどんどん携わってもらいたいと思います。その経験が彼自身にとっても成長できる経験となり、これからの活動に活きてくるでしょう!(社長・前田より)

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