重機オペレーター

企業からのPRメッセージ

今日からノスヴァモスという会社で、働くことになった。
理由は、デカい重機を操縦してみたいと思ったから。深い意味はない。

「今日からよろしくね」工場長が入口から案内してくれている。
でも、僕は、目の前に広がる光景で頭がいっぱいだった。
高く積み上がったコンクリートのガラ山に、公道では見たことのない大きさの重機が乗っていた。
あっちにも、こっちにも。
「落ちないのかな？」と、思った。

「そういえば、今日ここにあるガラはね…」工場長が説明してくれた。
最近閉店した有名百貨店の解体工事で発生したコンクリートガラらしい。
そういえば、ニュースでやっていたな。
小さいころ、そこのレストランで食事をしたことを、思い出した。

出口まできた。そこには、海が広がっていて、船が停まっていた。
砂のような、粉のような、灰のような…。コンクリートガラは形を変えて袋に詰められ、どんどん船に積まれていく。

「次は、道路の舗装材として使われるんだ」工場長は言った。
役目を終えたコンクリートに、次の行き先があると知って、少しほっとした。

「じゃあ、重機の免許が取れるまでは、この仕事から始めようか」
「がんばります」
ほんとうは、早くあの重機に乗りたくて仕方がないけれど、もう少しの辛抱だ。

＜3ヶ月後＞

僕も重機を運転できるようになった。
ガラ山の上は、想像以上に高い。
少し離れた入り口と出口、そして天窓から差し込む光で、工場の雰囲気が少し変わる。
時間の経過がなんとなく、わかるようになってきた。

ふと下を見ると、工場長と新人さんがいた。
工場長は、また1つ1つのガラ山を説明しているみたい。
でも、新人の彼は、僕の方をじっと見ている。

ちょっと誇らしい、気持ちになった。

黙々と重機を操縦して、ガラを仕分ける。いつの間にか、時間が経っている。