文平産業株式会社
いつも自然体でいられる職場

いつも自然体でいられる職場

S・Tさん(44歳)
2009年入社
前職:板前(寿司職人)
現職:土浦営業所の営業所長

「農業機械」にピンときた。

―これまでの経歴を教えてください

高校卒業後、名古屋で板前として5年ほど勤務。その後は地元(茨城)に戻り、寿司屋さんで2年ほど働きました。寿司屋さんを辞めた後に、いまの会社(文平産業)へ転職しました。

―とても気になる経歴ですね(笑)

大学進学も考えていましたが、父から「大学で何したいの?」と聞かれ、うまく答えられませんでした。やりたいことは行ってから見つけようと思っていたのですが、そんなとき、行きつけの蕎麦屋さんの店長と雑談する中で「知り合いの店で働いてみるか?」と声をかけられ、それが名古屋の板前でした。

ただ、地元が好きで「いつか戻る」と決めていたので、自分で決めていた期間を働き、帰郷。経験を活かせる寿司屋さんでの仕事を選びました。

―飲食関係が続きますが、なぜ3つ目で全く異なる仕事を選んだのですか?

無理な働き方が続いて、体調を崩してしまったんです。
これからのことも考えると「規則正しい生活のできる仕事」に就きたいと思うようになりました。

―応募は何社かしたのですか?

最初はこれまでの経験を活かせる食材関連の仕事を探し、自宅近くの食肉加工工場へ応募をしました。ただ「ウチではあなたのスキルは活かせない」と不採用。職安で求人を探していたとき、「農業機械」というワードが目に留まり、他にない商材に興味を持ちました。ご縁があって内定をいただき、いまは所長職を任されています。

やり始めるとマシンいじりにハマっていった。

―入社後まずはどんなことから始まったのですか?

畑違いの業界出身だったため、「この機械は田植えに使う」「これは草刈り機」など、基本的な知識を学ぶことからスタートしました。

仕事内容としては、まず整備。というのも、当社に寄せられる相談の多くは「機械が動かない」というもの。その対応には、機械の構造を知り、修理できるようになることが必須でした。

―全く異なる業種、仕事内容への不安は?

得意ではなかったものの、やり始めるとどんどん楽しくなっていきました。扱う機械の種類も多く大変でしたが、自分が修理した機械が動く(直る)ことが、やりがいになっていって。車やバイク、ロボットなどが好きな人だと伝わると思うのですが、この仕事はそれらと通じるものがあり、自分でいじって動かすこともできる。好きなものを触っていられる。不安よりも、その楽しさが勝っていたように感じます。
また、新しい機械が入荷したときには、何とも言えない高揚感を得られるようにもなっていきました。

―いいですね

一つ一つの修理経験が、全て自分の経験値として蓄積されていくのもやりがいだと感じます。

故障原因が分からないときは、理詰めで考えます。例えば「田植え機のエンジンはかかるけど、苗を植えてくれない」という場合。モーター部分の故障か?エンジンの駆動を伝えるベルトの問題か?レバーに繋がっているワイヤーが切れたか?など、色んなパターンの原因を想像し、一つずつ確認をしていきます。

同じような故障を経験するうちに、いつの間にか、見えてくる世界(想像できる故障箇所のパターン)が変わっていき、対応スピードもどんどん上がっていきました。こういった積み重ねでお客さんに「助かった」と感謝されることも、大きな喜びに繋がっていきました。

いい雰囲気がある、伸び伸びと働けている。

―印象に残っていることなどありますか?

(悩み)うーん。難しいなぁ…
新商品が売れるのも嬉しいし、ニーズに合った商品を提案して「使いやすかった」と喜んでもらえるもの嬉しいしなぁ。

でも正直、嬉しいことよりも怒られたことの方が印象に残っています(笑)。

―最近何かあったんですか?

毎朝、出社後はみんなでコーヒー飲みながら打ち合わせや雑談をしているんだけど、その時にあるお客さんが「こうしゃがよ!こうしゃが大変でよ」と、焦った様子で事務所に来られたんです。

自分たちは朝のまったりタイムだったから「学校がなんかあったの?」て冗談っぽく返したら、「高所作業車が動かねぇんだよ!」って怒られてしまい…。すぐに謝って現場に向かうと、比較的簡単な修理で、その場ですぐに対応できて一件落着だったんです。でも、自分たちにとっては簡単な修理でも「車が動かない=収穫ができない」というお客さんにとっては死活問題。状況を正しく理解できず、軽く対応してしまったことを反省しました。

お客さんがご自身で簡単な修理ができるように、説明しながら修理を見せることもありますが、やっぱり「助けて」と私たちを頼って飛び込んでくるお客さんは少なくないので。もっと早く状況を察知するアンテナを持たなければと感じました。

―話が変わりますが、私の叔父が農家で。JAとのやり取りが多い印象があります

もちろんいますよ。でも、うちに変えてもらおうとは思ってないです。

ただ、お客さんの様子を見に畑へ行くと、近くの農家さんと世間話をすることがあり、自然と顔見知りになっていきます。自然体で話していると、向こうも興味を持ってくれて「○○ある?」って声をかけてくださるんです。売ろうと意識せずとも、人となりを知っていただくことで、ご依頼につながることはあります。

―いまは所長をやられていますが、いつからこのポジションへ?

2年ほど前です(取材時より)。まだ社内にはいるのですが、前任者が定年を迎え、世代交代で所長を任されることになりました。

―意識されていることなどはありますか?

前の所長が作ってくれた良い雰囲気を継続させていきたく、風通しの良さを大切にしています。

自分より20歳ほど年上のメンバーが多く、伝え方が難しいときもありますが、会社のために時には心を鬼にして「こうしてほしい」と伝えることもあります。でも、怒るのはとても苦手。できるだけ優しく、穏やかに接したい。感情的にならないように「自分はこうしていきたい」という思いを日ごろから伝えるようにしています。

でも、土浦営業所のメンバーはとても仲が良く、一緒に旅行に行くこともあるんですよ!
そして、「この日にみんなで出かけようと思うので、営業所を閉めてもいいですか?」と社長に聞くと「いいね、行ってきな!」と快く送り出してくれる。こうした雰囲気の良さが、働きやすさにつながっていると感じます。

四季の移り変わりを感じながら、穏やかに働いています。

―転職時の願いは叶いましたか?

叶いました。
田植えや稲刈りの時期は忙しいですが、土日祝日は休みで、残業もほとんどありません。 毎朝、みんなでコーヒーを飲みながら雑談する時間も楽しいです。いまの時期(取材は2月)は出荷も終えて、農業機械の整備期間(作業場での整備が中心)。寒くなると手がかじかむので、適度なところで切り上げています。

―応募を考えられている方へのメッセージをいただいてもいいですか?

この仕事は単調ではなく、とてもやりがいがあります。
修理やご提案、展示会など幅広い業務があり、特に展示会では各営業所の仲間が集まったり、その地域の農家さんと直接話せる機会もあるので、それも楽しみの一つになっています。

また、季節ごとに農家さんの動きも違うので、私たちの仕事もそれに合わせて変化します。だから、1年はあっという間ですし、その翌年からは前年度の動きを参考にしながら、より効率よく働くことができます。
知識や経験が積み重なり、時間をかけて成長できる仕事。興味を持っていただけたら嬉しいです。

企業担当者の声

地元がこちらだったこともありますが、最初は「寿司職人から農業機械販売の仕事に転職して大丈夫だろうか?」と正直思いました。でも、よく考えてみると、寿司職人も接客業であり、一人ひとりのお客さんとの関係を築く仕事。それは、農家さんと、うちのような農業機器販売店の関係にも通じるものがあるとも思いました。実際に、農家さんと信頼関係を築く際に、Sさんは持ち前のコミュニケーション力を活かしていると感じます。そういう意味で、斎藤さんはこの仕事に向いていたのではないかと感じています。

また、2年前よりSさんには所長を任せております。自分より20歳年上の大先輩たちをまとめるのは難しい仕事ですが、うまく立ち回れる力を持っている彼なら、できると思いました。苦労する部分ももちろんあると思いますが、上手くやってくれて、頼れる人材になってくれています。(社長・佐藤より)

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