【地元へのUターン】知らないことってこんなに難しいしだ、楽しいんだと知りました

このままじゃ「自分が面白くない」技術＋αの仕事へ

これまで経歴を教えてください

自分は地元がこの辺で、学校も近くにあるところで専門高校へ行って土木系の分野を学んでいました。その時に測量なども覚えたので卒業後の1社目はそっち系を中心に考えたのですが、ちょっと色々あって工業団地にある製造系の仕事へ就職しました。

でも、なんかしっくりこなくて。ひたすら黙々と同じ仕事をやるのが自分には向いてないと思っちゃって「このままだと、自分が面白くないな」と感じて、転職をしたんです。それが、前職の会社です（機器開発メーカー）。

選んだ理由は、学校で測量を学んでいた時に図面を引いた経験があったことや、完成図からプランを練るのが好きで（プラモデルの説明書読んだりなど）。学校で学んだのが手書きの図面作成だったのですが、当時3DCADが流行っていたのもあり「この技術を学んでスキルとして身につけたらいいのでは？」と、面白さを感じたからです。

何年くらい在籍していたのですか？

15～6年ほどです。機械設計をメインに、CAD講師なども行っていました。

地元で働きたくUターン。見つかるまで半年かけた転職活動

長く勤めた会社を辞めようと思ったキッカケは？

前職は会社が八王子にあって、当然私も会社の近くで1人暮らしをしていました。でも、親はこっち（地元）で1人で住んでいて、もし何かがあった時を思うと心配で。いつかは地元に帰って仕事をしたいと思っていたんです。

転職を検討に入れてからずっと転職サイトは見ていたのですが、なかなかこっちのエリアだと同業の仕事が見つからなく、ずるずる時間が過ぎていっちゃって。半年くらいたった時に偶然見つけたのがいまの会社だったんです。

タイミングだったんですね

分かっていましたが、やっぱり都内や千葉市内と違って希望の会社に出会うにはかかっちゃいましたね（笑）でも、自分は転職に焦ってもいなかったですし、地元に帰ろうと思った時から求人は見ていたので「やっとその時が来たんだな」という感じでした。受かってから退職申告や地元への引っ越し作業などもあり、入社は面接から2ヶ月後とかでしたね。（東容製作所に入社したのは2020年1月）

募集していたのは設計職ではありませんが、以前にマシニング加工は少し携わったことがあったのと、元々モノづくりは好きという点でも業務内容に興味があったので「新しいことを覚えていこう」という気持ちでした。

加工する側に回って初めて気づいた難しさや楽しさ

入社後はどのような業務から始まったか覚えていますか？

入社後1～２日間は先輩が行っている業務を隣で見学が中心で、その後は実際に加工に使う機械を一緒に動かしながら基本的な加工を教わりました。自分も実際にいじった方が覚えられますし、言葉で説明だけより実務を通じて教わることが多いと感じましたね。

加工するモノは大小ありますが、まずは小さい製品の簡単な加工から。例えば、真四角なアルミが３つあって、でも欲しいのは長方形の加工物。その場合は、それぞれの表面を削って厚みや長さを揃える加工が必要で。納品時から欲しい長さや厚み（幅）に揃っているモノはないので、まずはそこの加工から始めるんですよね。
なので、ます最初に教わったのは、製品（部品）として加工するための、下準備のための加工でした。

そこから少しずつ新しい加工を教わっていき、「穴あけ」「溝を入れる」それができると「ちょっと複雑な加工」など、幸いにも自分は図面のある程度の見方は分かっていたので、分からない加工方法は自分で調べながら、それでも分からないことは近くで作業している先輩に聞きながら仕事を進めていきました。

いまの時代って「マシニングセンタ　○○」で検索すると、ブログや知恵袋、YouTubeなどで知りたかった加工の仕方がほとんど見つかるんですよ。便利な世の中になったなぁって感じますね。

ちょっとは馴染みのある分野と思いますが、難しかったことは？

全部ですよ！入社する前は正直な話「もっと簡単だろう」って思っていましたもん（笑）

簡単だろうと感じていた理由は？

最初も話しましたが、元々私は機械を設計する側にいたんですよね。加えてある程度大きい会社にいたこともあり、設計部署・実際にその図面で加工ができるかの確認部署・加工部署（製造）と分かれていたので、簡単に言っちゃうと「図面ひいたから後はそっちで加工して」という感じでしか仕事をしてこなかったんです。

正直話、加工のことを考えずに図面を作っていたんですよね。

これが小さい会社であれば、同じように自社で設計～加工でも現場のことを考えた設計を行うじゃないですか。でも、良くも悪くも前職の会社には人が多くいたので、それらを細かに考える必要がなかったんです。

大手と中小の違いですね

ここまでは設計サイドの話でしたが、いま自分が行っているのは、できあがった設計図をみて行う「加工」。

設計図通りには全部できないんですよ。「これどうやって加工すればいいの？」「この寸法おかしくない？」なんて、自分が手を動かしてみるとできないことが多くて。逆の立場になって初めて「もしかしたら自分は簡単にはできないことを設計図にして、現場に指示してたのかもしれない」と知ったんです。

現場を知ったからこそ、見えてくる視点が変わったということですね

他にも「機械が加工してくれるんだし、仮にサイズが1→1/10に変わっても同じ加工ならスイッチ1つでしょ」と思ってて。実際全然そんなことないって驚きですよ（笑）だって、まず加工前の資材のセットの仕方から変わってくるんですよ。

知らないことってこんなに難しいし、楽しいんだって、身をもって体感しています。

上手くできると嬉しい、それが日々のやりがい

楽しい部分などはありますか？

いやぁ、楽しくはないですよ（笑）1つの製品に対して5～6個パーツがあって、みんながそれぞれの加工を計算しながらやっていて。チームでの安心感と同じくらい、他の人に迷惑をかけないようにしようなんてプレッシャーもあって。組み立てたときに1つでも部品のサイズが合わないと、その部品は製作し直さないとなので「これであってるかなぁ…」なんて、日々不安も感じています。

良い人が多いので、仮にミスがあっても、怒られるとか責められることは一切ないんですよ。

でも「自分のせいで製作工程が遅れちゃったらどうしよう」って怖がりながら仕事を進めています。だから、楽しくはないです。めちゃくちゃ慎重にやってます。社長にも先輩にも、フォローできるから失敗してもいいって言われるけど、全力で失敗を恐れてます（笑）

なるほど（笑）

でも、綺麗に加工できたり、上手くできたなっと思うと、やっぱり手ごたえややりがいは大きいですね。

日々のプレッシャーはあるけど目に見えてスキルアップは感じられますし、自分次第ではできることもどんどん増えていきますからね。まさに、職人仕事って感じです。

職場の雰囲気はどんな感じなんですか？

仕事柄1人で黙々とできる作業ですし、あんま交流がある感じではないですね。最低限のコミュニケーションかな？

でも「聞けば教えてくれる」のは心強いですよ。「昔の職人みたく”見て覚えろ”は、ない」です。

実は兄も機械加工の仕事をやっていたことがあって、このことを話すと驚かれましたもん。兄のいた会社は、いわゆる職人気質な会社だったらしく、若手は見て覚える・先輩のスキルを隣で盗むが当たり前だったらしくて。話しかけることもできなくて苦戦した…と、こぼしていましたね。

私が未経験からでも、この会社で機械加工の仕事を続けていられる理由は「見て覚えろという雰囲気がない」からとは、感じますね。

どんな方が向いていると思いますか？

機械いじりに興味があったり、モノづくりが好きなことが一番と思いますね。あとは「なんで？どうして？」を調べられる人ですかね、興味を持って自分で調べられると、どんどん技術は上がっていくと思いますね。

あとは、失敗を恐れずにできる子！
私は性格的に怖がりなのですが、失敗を恐れずにどんどんチャレンジできる子が、いいんじゃないかなと思いますね。経験・未経験問わずに「やってみたら、結構できた」「新しいことに挑戦する姿勢」という意味でも、かなり向いていると思います。

本日はありがとうございました