20230525055019.png※出典:Z世代は何が同じで何が違うのか──古屋星斗(リクルートワークス研究所)

いつの時代にも議論の的とされる「世代」というテーマですが、最近は、Z世代の特徴について取りざたされることが増えています。人材採用や社員教育の観点からも、Z世代の特徴をつかみたいというニーズは大きいのではないでしょうか。


中小企業の採用活動のご支援をしていると、採用担当者、特に年配の経営者においては、最近の若い世代は、独立心がないとか、ハードワークを好まないといった印象を持っている方が多くいらっしゃるように思います。

確かに、独立心をあおるような求人広告の反響は昔に比べてかなり落ちている気がします。
しかし、若い世代(Z世代)において、独立心のある人材は本当に減っているのでしょうか?

冒頭のグラフが面白い結果を示しているのでご紹介します。リクルートワークス研究所の研究所員、古屋星斗氏の記事です。古屋氏は、「ゆるい職場」の著者として有名な方ですね。

就業先意向(世代別)のアンケート結果を見ると、
大企業に勤務したい」と考えている人の割合は45.8%と他の世代と比べて突出して高いのですが、10代において、「独立・起業したい」と考えている人の割合も31.1%、「ベンチャー企業で働きたい」と考えている人の割合も17.9%と、他の世代より突出して高いのです。

要するに、2極化が進んでいるということで、いつの時代もそうですが、最近の若者は・・・という世代論で片づけることは適切ではないということですね。

では、採用する側はどんな工夫をしなければいけないかというと、独立志向の高い人やベンチャー志向の人が活動している場に求人情報を届ける工夫をするということです。

それらの人が、どのような場で求人情報を収集するのか、どのような形で転職活動をするのかに合わせて、採用手法を多様化することが重要です。

例えば、
・ビジネスの基礎スキルがあって野心のある方は、企業からのスカウトを望んでいる可能性があります。そんな方向けにダイレクトリクルーティングサイトを使ってスカウトをする
・独立志向の強い方は、同じような価値観の方と情報交換している可能性があります。そんな方向けに、人を介して接点を持てるようリファラル採用を強化する
といった感じでしょうか。

求人サイトに求人情報を掲載して応募を待っているだけでは、優秀な人材は採用できない時代です。多様な採用手法にチャレンジしていきたいですね。

ちなみに、同記事内の居住地に関するアンケートも面白いです。20230525055048.png

若者の地元志向は高まっているという漠然とした印象がありますが、実は、地元志向が高い人の割合が特に増えているわけではないのです。地元を離れることに抵抗のない人の割合は、逆に少し増えており、全体をみてもきれいに2極化していることが良くわかります。

これも世代に対する印象論で若者の価値観や行動を捉えてはだめという例ですね。
若い世代を採用するためには、イメージではなく、客観的に正しく状況を判断するための情報収集が欠かせないように思います。