20231107065131.png出典:「なぜ転職したいのに転職しないのか」(リクルートワークス研究所・2023年10月19日)

リクルートワークス研究所が発表したパネル調査「なぜ転職したいのに転職しないのか」の内容がとても興味深かったのでご紹介します。

この調査によると、

転職希望者の約87%は1年以内に転職していないことがわかった。

とのことです。

結構衝撃的な数字ですが、この調査では転職者がどこでつまづいているのかについて様々な検証をしています。

一概に転職希望者といっても、すべての転職希望者が転職に対して強い意欲を持っているわけではなく、3つのレベルに分かれるようです。

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  • 実際に転職活動を行っている転職活動者:15.1%
  • 現在転職したいと考えているが活動していない者:29.2%
  • いずれ転職したいと思っている者:55.7%

まず、知っておくとよいなあと思ったのが、「転職を希望しているのに転職活動をしない理由」です。
転職を希望しているのに転職活動をしない理由では、それぞれのレベルにおいて違うようです。

「いずれ転職したいと思っている者」が仕事を探していない理由として最も多かったのは、「今のところ、転職をしなくても問題がない」が41.8%、次いで、「転職しても自分の希望条件は満たされそうにない」が16.7%、「自分に合った仕事がわからない」が11.7%。


一方、「現在転職したいと考えているが活動していない者」仕事を探していない理由として最も多かったのも「今のところ、転職をしなくても問題がない」でしたが、23.5%と前者に比べてかなり少なくなっています。代わりに、「転職しても自分の希望条件は満たされそうにない」が20.1%、「自分に合った仕事がわからない」が18.7%と増えています。

転職希望者の約30%が「今のところ、転職をしなくても問題がない」と考えているのですね。採用競争が激しい中、採用力を高めていくためには、この層への働き掛けも欠かせません。だからこそ、求人メディアや自社メディア、リファラルやアルムナイなど、多様なチャネルを駆使した長期的、継続的な採用活動が必要なのだと強く思います。

次いで、押さえておきたいのが、転職活動者が転職していない理由です。

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転職活動者に転職していない理由を聞いたところ、最も多かったのは「自分にあった仕事がわからない」の14.2%だった。なお、この答えを挙げた人は25~34歳で20.8%と多く、年齢層が高くなるに従って徐々に減少している。

次に多いのは、「思ったよりも手間がかかって進んでいない」と転職の手間を理由に挙げる人で、転職活動者全体の10.9%を占めた。

我々求人メディアの役割として、転職活動をしている人が自分に合った仕事を見つけるためのサポートがいかに重要なのかわかります。また、転職活動における手間を減らしていくための仕組みの改善も重要ですね。

ただ、ここで、採用する視点で考えたときに、調査の中にあった提言に考えさせられました。

転職者を採用する企業側も、これまでの採用方法や選考条件に抱いていた思い込みを見つめ直す必要があるのではないか。もし転職者に新しい風を期待しているのであれば、企業が選ぶ採用から、応募者から選ばれる採用へと方針を転換することができるだろう。
また、応募者に選ばれるためには、多様な人材が活躍できるような制度や環境を整えていくことも必要になる。企業が、求める人材を得るために行う改善は、転職を希望する個人が、望む転職を得ることにつながるはずだ。

人材獲得競争が激化する中、企業が選ぶ採用を続けていては、大手企業や有名企業、給与の高い会社に勝ち目はありません。中小企業が採用力を高めていくためには、応募者から選ばれる会社になるために採用活動や環境の見直しが欠かせないと改めて感じました。

この調査では、そのほか、貴重なデータがいくつもありますので、ぜひ参考にしてください。