『あ~、今日も応募書類作れなかった……。』『あの求人、もう募集終わってるじゃん!』
仕事で疲れて帰宅。頭の片隅に転職活動がチラつくものの、つい動画やSNSチェックで時間が過ぎていく。
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか?働きながらの転職活動が大変で、会社を辞めてから転職したいと考える方も少なくありません。
実際Biz Hitsのアンケート結果によると、約50%の人が「辞めてから転職活動をした」と回答しています。
しかし「仕事を続けながら・辞めてからどちらの転職活動がよいか」という質問には74.2%の人が「働きながら転職活動したほうがいい」と経験とは異なる回答をした結果が出ているのです。
(Biz Hits/転職活動は働きながら?辞めてから?アンケート より)
あなたにとって最適なのは「仕事を続けながら転職活動」「会社を辞めてから転職活動」どちらでしょうか?
本記事では、それぞれのメリット・デメリットと、どちらを選んでも転職を成功させるポイントをご紹介します。自分に合った方法で転職活動に臨んでいただければと思います。
1 「辞めてから・続けながら」どちらでも転職は成功できる
転職活動のタイミングに悩む方はたくさんいますが、極論どのタイミングでも転職を成功させることは可能です。なぜならタイミングよりも、どのような転職活動をするか、といった中身が大事だからです。
会社を辞めてから・仕事を続けながら転職するメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
会社を辞めてから・続けながら、それぞれの注意点や向き不向きはありますので、今の自分はどちらが適しているかを見極めて転職活動を始めましょう。
1.1 「会社を辞めてから」退職後に転職活動するメリット
1日8時間など仕事をしていた時間が自由になり、いつでも好きなときに転職活動ができるのが「会社を辞めてから転職活動をする」最大のメリットです。
- 転職活動に集中できる
- 今すぐ環境を変えられる
- 採用後にすぐ入社できる
- スキルアップに時間が割ける
① 転職活動に集中できる
時間に余裕が生まれることで、自分の気持ちの整理や将来についてじっくり考える時間が取れ、気持ちのゆとりが出てくるのが大きな特徴でしょう。
また、選考が始まって面接に行くために仕事の調整や休暇取得などをする必要がないので、在職中よりもスピーディーに日程調整をしやすいでしょう。
② 今すぐ環境を変えられる
労働環境や人間関係、体調面などで今の仕事を続けるのが難しい場合は、仕事を辞めることで環境をリセットすることができます。
強いストレスを抱えながらの転職活動で気持ちが後ろ向きになりがちな場合は、今の環境から離れる選択肢があることも考えてみましょう。
③ 採用後にすぐ入社できる
退職手続きや引き継ぎなどがないため、内定が出た後にすぐ入社できるのも退職後ならではです。
一般的に引き継ぎは1~2ヶ月程度ですが、現職で責任あるポジションに就いていたリ、後任がいない場合は退職を申し出ても留意されたり、時には数ヶ月先まで辞められない可能性もあります。
④ スキルアップに時間が割ける
時間にゆとりが持てるので、資格取得や学びの時間を増やすこともできます。選考時にアピールすることもできますし、入社後の知識向上にも大いに役立つでしょう。希望業界や職種に役立つ知識、伸びている分野・興味のある世界への学びを始める絶好のチャンスです。
1.2 「会社を辞めてから」退職後に転職活動するデメリット
時間的な余裕が生まれる反面、転職活動が長期戦になったときに焦りが生まれるのがデメリットです。
- 収入がなくなり金銭的な不安がある
- ブランク(無職期間)ができる
- 転職活動が長引くと金銭・精神的な余裕がなくなる
① 収入がなくなり金銭的な不安がある
安定的な収入がなくなり、金銭的な心配や不安があるのが仕事を辞めてからの転職活動でしょう。家賃や食費、スマホの通信費といった生活費はもちろん、面接時の交通費など転職活動における出費も発生します。
貯金がなくなってその場しのぎの転職をしないためにも、自分の貯蓄で収入がなくても生活できる期間を試算しておきましょう。
② ブランク(無職期間)ができる
転職期間=ブランク・無職期間となります。実務から離れることでスキル低下、面接時の評価が下がるのではないかという心配も起きやすいです。
また実際、採用担当者の視点としても長期間のブランクがあると理由を確認します。ブランクが長期間とならないよう、短期集中で転職活動を進めましょう。
③ 転職活動が長引くと金銭・精神的な余裕がなくなる
貯金が底をついてしまうのではないか、このまま就職ができないのではないか、自分が社会から求められていないのではないか……。想定よりも転職活動期間が長引くと、焦りも生まれてきます。
焦りや気持ちが揺らがないように、気持ちを立て直せるように、転職スケジュールを立ててゴールを設定してから転職活動をスタートしましょう。
1.3 「仕事を続けながら」在職中に転職活動するメリット
毎月の安定した収入があるのが最大のメリットです。金銭的に今より生活が苦しくならないので、焦らずしっかり納得したうえで次の会社を決めやすいでしょう。
- 金銭的な不安がない
- 精神的な余裕がもてる
- ブランク(無職期間)ができない
- 転職しない選択肢ももてる
- 保険や年金など負担の変化がない
① 金銭的な不安がない
毎月の安定した収入があるのは大きな安心材料となります。家賃や住宅ローン・食費・光熱費・通信費など、娯楽を除いてもそれなりに生活費はかかります。金銭的な心配・暮らしへの不安がないことは精神的にも心強いでしょう。
② 精神的な余裕がもてる
退職後の転職活動では、生活費などの金銭面や、無職が続いたらどうしようなど、転職活動が長引くほど精神的な不安が大きくなります。焦って入社を決めてしまったなんてことにもなりかねません。
しかし在職中であれば、「いい会社と縁があるまで待とう」「急いでいるけど妥協せず決めよう」そんな心の余裕をもつことができるでしょう。
③ ブランク(無職期間)ができない
ブランクがないので、社会人としてのカンが鈍ったり、仕事のスキルが落ちてしまうこともありません。今のスキルを保持したままの転職が可能です。
④ 転職しない選択肢ももてる
いざ転職活動をしてみると、今の会社の良さが見えてくることもあります。ほかの企業と比べてみたり、今の会社を客観的に見てみることで「転職しない」という選択ができるのは在職中ならではでしょう。
また、転職を考えたことをきっかけに、まずは現職で状況が変わらないのか上司に相談したり、転職活動で時間が経過する中で抱えていた不満が解決するケースもあります。
今ある不満や問題を改善することができないのか?と回避せず解決策を探すことで、転職する必要がなくなる可能性もあるのです。
⑤ 保険や年金など負担の変化がない
会社員の場合、健康保険や厚生年金は会社が半分負担して支払っています。退職をすることで保険料は全額自己負担になり、厚生年金においては国民年金のみとなり老後の支給金額が下がってきます。
手続きも地味に面倒なので、支給金額も変わらず手間もかからない点をメリットに感じる方もいるでしょう。
1.4 「仕事を続けながら」在職中に転職活動するデメリット
転職活動に充てる時間が少ないことが大きなデメリットになります。意識的に時間を取らないと、転職活動自体がダレてしまったり、うやむやになっていつの間にか転職活動をしなくなっているなんて可能性もあるでしょう。
- 転職活動の時間が取りづらい
- 気力・体力が必要
- 面接日程の調整が難しい
- 職場の人にバレない気遣いに疲れる
- スムーズに退職できない可能性もある
① 転職活動の時間が取りづらい
通勤時間や仕事の前後、休日に転職活動を行うことになります。
「忙しくて」「疲れていて」と後回しにしてしまうと、転職活動が長引きダラダラしたものになってしまいます。出社前に短時間集中して進める、休日の午前中は予定を入れないなど、転職活動の時間をコントロールできるとよいでしょう。
② 気力・体力が必要
自己分析・求人検索・応募・選考など、転職活動は数多くのステップがあります。納得して転職を終えるなら、それなりの時間も労力もかかります。
新しい活動へ意欲的に取り組むには心身の健康が大切ですので、自分のメンタル・体調維持も心掛けてください。
③ 面接日程の調整が難しい
応募した企業によっては、指定された日時が勤務時間と重なり、自分が休みを取らないと面接に行けないケースもあります。業務や有給休暇の調整も必要になってくるでしょう。
なるべく時間外や休日での面接ができないか、Web面談は可能か、応募企業への依頼もしながら進めるのがよいでしょう。
④ 職場の人にバレない気遣いに疲れる
転職するまでに時間がかかるかもしれないですし、転職しないと決意する可能性もあるので、内定を受けるまでは転職活動を口外するのはおすすめできません。
会社のパソコンで求人検索をしない、社内で応募企業との電話をしないなど、ふとした瞬間にも気を配りましょう。
⑤ スムーズに退職できない可能性もある
退職がなかなか受理されなかったり、引き留めに合ったり、引き継ぎに時間がかかったりなど、想定以上に退職日が先になってしまう可能性もあります。
一般的には引き継ぎ期間は1~2ヶ月とされていますが、自分のポジションや抱えている案件の期間なども考えておきましょう。
転職活動を始めてから退職まで、どのくらいの期間があった?
転職活動を始めてから、直前の勤め先を離職するまでの期間
転職者が具体的に転職活動を始めてから直前の勤め先を離職するまでの期間をみると、「1か月以上3か月未満」が 27.2%、「転職活動期間なし」が 25.8%、「1か月未満」が 19.3%となっている。直前の勤め先を離職してから、現在の勤め先に就職するまでの期間
転職者が直前の勤め先を辞めてから現在の勤め先に就職するまでの期間をみると、「1か月未満」が 29.4%、「離職期間なし」が 24.6%、「1か月以上2か月未満」が 12.5%となっている。一方、「10 か月以上」が 7.6%となっている。(厚生労働省/平成 27 年転職者実態調査の概況 より)
2 多くの転職エージェントが「在職中」の転職活動を勧めるワケ
仕事探しや転職活動をサポートする「転職エージェント」の多くは、あなたが在職中ならば「仕事を続けながらの転職活動」を勧めるでしょう。
- 金銭的・精神的な心配が少ない
- 熟考して納得したうえで決断する余裕がもてる
- 今の会社でスキルアップしたうえで転職する方が目標に近づける
在職中は時間の制約はありますが、上記の点から辞めない方がリスクが少なく転職活動できるためです。
しかし、多忙のあまり転職前に体を壊してしまったり、今の仕事を続けることが精神的な負担になることもあります。
できる限り今の会社にとどまって転職することをおすすめしますが、辞めてからの転職がよい状況であれば、無理しすぎず退職の選択をして転職活動を始めましょう。
3つともYESであれば、会社を辞めてからの転職活動がしやすい環境といえるでしょう。
- 今すぐ会社を辞めたい理由が明確にある
退職後に転職活動するデメリットを読んでも転職したい理由がある。今すぐ辞めることで抱えている問題が解決する。当てはまるならYES。 - 今の会社で悩みや不満を解決できない
今抱えている悩みや問題を上司に相談しても改善されていない。うつ病など精神的に仕事を継続できない場合だが休職させてもらえない。介護など家族の問題が発生しているが会社の制度もなく、行政利用もパートナーの協力も難しい。当てはまるならYES。 - 半年~1年間の生活費がある
ひとり暮らしで自分の貯蓄で生活ができる、実家に戻る選択肢がある。パートナーに頼ることができる。子どももいるが家族全員が生活できる資金はある。当てはまるならYES。
3 「辞めてから・続けながら」転職活動をスムーズに進める8つのコツ
3.1 会社を辞めてからの転職活動をスムーズに進める2つのコツ
- 転職活動へのモチベーションを保つ
- 目標の入社時期を決める
- 会社を辞めてから転職した体験談もチェック
① 転職活動へのモチベーションを保つ
会社を辞めてから転職活動をうまく進めるには、自分自身をしっかりコントロールすることが大切です。なぜならモチベーションを保ち続けることは非常に難しく、想像以上に大変なのです。
まだ今の会社を辞めていないのなら、本当に今の会社を辞めてから転職活動ができるのか、改めてメリット・デメリットもしっかり理解して自問自答してから始めてほしいと思います。
② 目標の入社時期を決める
おおよその入社時期を定めることで、逆算して転職活動全体のスケジューリングをすることができます。
3月中に内定をもらうか入社したい。そうなると2~3月が選考で1~2月が求人検索や応募。ということは1月の前半のうちに自分のビジョンを確立させよう……そんなプランが立てられます。
「予定通りに進んでいるな」「ちょっと遅れてきたぞ」など自分の今いる場所が見えることで軌道修正も可能になるのです。
③ 会社を辞めてから転職した体験談もチェックする
平日は20時ごろまで、土日は部活動という教員の仕事をしていました。勤務時間だけでなく、やりたい仕事が片道2時間必要な都心部での募集しかなかったため、面接場所に行く時間の確保も難しくて辞めざるを得ない状況でした。
退職から1ヶ月半の期間無収入で苦しい思いをしたので、次は在職中の転職活動を選びたいですし、今ならWeb面接も増えているので積極的に活用したいですね。
ただ、転職活動中にやりたい仕事へのアプローチ方法が多数あると知れたのは、時間に余裕があって情報収集ができたからだと思うので、その点はよかったです。
初めての転職で慎重に会社選びをしたく、納得いくまで情報収集をするための時間が欲しくて退職してから転職活動することに決めました。
現在も転職活動中ですが、2年以上は生活できる貯蓄もあるので、今のところ焦りはなく面接などを進めているところです。
3.2 仕事を続けながら転職活動をスムーズに進める3つのコツ
- 本気で取り組むために転職活動の優先度を高くする
- 仕事と同じようにタスク化して予定を入れる
- 仕事を続けながら転職活動した体験談をチェックする
① 本気で取り組むために転職活動の優先度を高くする
在職中に転職を成功させる秘訣は、時間管理を意識的に取り、転職活動の優先度を高くすることです。働きながら転職活動を行うのは、時間も必要ですし気力・体力も必要です。少ない限られた時間を有効的に使えるかどうかで、転職を終えるまでの時間も変わってくるでしょう。
② 仕事と同じようにタスク化して予定を入れる
日々の仕事の前や後、通勤時間、昼休み、休日、あなたが転職活動に時間を充てられるのはいつでしょうか?仕事やプライベートの予定と同じレベルで転職活動の時間を確保し、時間が取れたらやろうではなく、この時間にやろうと意識を変えましょう。
③ 仕事を続けながら転職活動した体験談をチェックする
転職したいけど初めてでどうしようかと、まずは在職中に転職エージェントに登録しました。状況や希望を相談してみると、今すぐ転職活動するよりもスキルを磨いてからの転職を勧められました。
納得感があったので目の前のことにまずは取り組み、結果的に力がついて給与アップもできる転職ができたので、慌てず転職活動に臨めてよかったです。
収入がなくなるのが怖かったですし、関わっていたプロジェクトが自分にとって価値のある経験になると実感していたので、完成を待って転職したい気持ちが強くありました。
プロジェクトが延び延びになってしまい、内定先に入社日を送らせてもらう想定外のアクシデントもありましたが、しっかりやり遂げて次に進むことができて良かったです。
3.3 辞めてから・続けながら共通の転職をスムーズに進める2つのコツ
- 転職成功のゴールを決めてから始める
- 様々な方法を利用して転職活動量を増やす
① 転職成功のゴールを決めてから始める
会社を辞めてから転職活動を始める場合の一番重要なこと、それは最初にゴールをしっかりと決めることです。ゴールがあやふやな状態で始めてしまうと、何をもって転職活動を終えるのか判断できないので次のようなゴールを決めておきましょう。
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② 様々な方法を利用して転職活動量を増やす
転職活動は自分一人で行う以外にも方法があるのをご存知でしょうか?限られた時間で転職活動を進めるために、複数のサービスを活用して自分が動かなくても転職活動が進む状況を作るとスピードが上がるでしょう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントは、自分の希望に合う求人を紹介してもらうサービスです。自分が探す視点以外の企業を知ることができたり、中にはWeb上で採用情報を出していない非公開の求人に出会える可能性もあります。
業界特化、地域特化、若手特化など、各社得意分野があるため、自分に合うサービスを利用するのが企業とマッチングしやすいポイントです。ちなみに「ちばキャリエージェント」は千葉県の地域特化サービスになります。
スカウトやSNSなどでオファーを受ける
企業からのスカウトを受けるのも転職活動の一つです。登録したプロフィールを見てスカウトされるので、自分のスキルが意外な職種で活かせると知ったり、自分では選ばないような業界からスカウトが来る可能性があるのも面白いでしょう。
また求人サイトで募集していない企業がスカウトで採用活動を行っているケースもあるので、登録をしてスカウトを待つのも新たな出会いにつながるチャンスでしょう。
友人・知人の紹介も検討する
最近増えているリファラル採用(社員紹介採用)をご存知でしょうか?自社をよく知る社員が、友人や知人などを人事や会社に紹介し選考を行う採用方法です。
選考前に会社の雰囲気や仕事内容など、リアルな内容が聞けるのがメリットですが、必ずしも採用されるわけではないのでその点は理解したうえで紹介を受けましょう。
4 まとめ
転職活動は仕事を続けながらでも、会社を辞めてからでも、成功する方法があることをお伝えさせていただきました。
「会社を辞めてから」「続けながら」メリット・デメリット
会社を辞めてから転職したい!と思ったときの3つの質問
- 今すぐ会社を辞めたい理由が明確にある
- 今の会社で悩みや不満を解決できない
- 半年~1年間の生活費がある
できる限り在職中の転職活動をおすすめしますが、状況によっては辞めてからの転職が適しているケースもあります。
メリット・デメリット、転職成功する方法などを踏まえて、どちらが今の自分に向いているか考えたうえで転職活動をスタートしましょう。