「ウレタン」という言葉を求人情報で見かけたことはありますか?
関連業界未経験の方にとっては少し聞き慣れないかもしれませんが、実はウレタン(正式名称:ポリウレタン)は私たちの日常生活に欠かせない多目的な素材です。
例えば、椅子のクッションやマットレス、自動車のシート、そして住宅の断熱材など、様々な場所で活用されています。この記事では、ウレタンとは何か、その特徴や用途、そしてウレタンを扱う企業での仕事について分かりやすく解説していきます。
1. ウレタンの基本:何が特別なの?
まず、ウレタンはプラスチックの一種で、ポリオールとイソシアネートという2種類の原料を混ぜて作られます。これにより、柔軟性があり、様々な形状や硬さに加工できるのが特徴です。ウレタンはとても使いやすい素材で、その性質が異なる2つの種類に分けられます。
フォーム品(発泡させたもの)
クッション材や断熱材など、柔らかくて弾力のある製品がこれに当たります。例えば、椅子のクッションや台所用スポンジ、マットレスなどで見かけることが多いです。
非フォーム品(発泡させないもの)
こちらはタイヤや靴底に使われるような、硬くて弾力性のある製品です。自動車やスポーツ用品など、耐久性が求められるものに多く使われています。
2. ウレタンの用途:こんなところでも使われている!
ウレタンは、日常生活や産業分野で幅広く使われています。具体的には以下のような場所で見られます。
家具
椅子のクッションやソファの座面、マットレスなど、ウレタンは座り心地や寝心地を向上させる素材として広く使用されています。その優れた弾力性と耐久性により、長時間の使用でも快適さを保ち、体圧を分散させることで疲労を軽減します。また、ウレタンの密度や硬さを調整することで、様々な好みや用途に合わせた家具製品を作ることができます。
自動車部品
シートやハンドルカバー、ダッシュボードなど、車内の快適さと安全性を高めるために幅広く使用されます。特に自動車用ウレタンシートは、走行時の振動を吸収し、体圧を分散させることで、長時間のドライブでも快適な乗り心地を提供します。また、防音材としても活用され、車内の静粛性向上にも貢献しています。
建築材料
断熱材として家屋の壁や屋根に使われ、エネルギー効率を大幅に向上させます。ウレタンフォームは closed-cell構造により優れた断熱性能を持ち、建物の冷暖房効率を高めることで、エネルギー消費の削減とコスト削減に貢献します。また、防水性も高いため、建物の耐久性向上にも役立ちます。
日用品
台所用スポンジや寝具、クッション材など、身近なところでもウレタンは大活躍しています。その吸水性や柔軟性、耐久性を活かし、日常生活の様々な場面で使用されています。例えば、ウレタンフォームを使用したマットレスは、体圧を均等に分散させ、快適な睡眠をサポートします。
工業製品
塗料や接着剤、シーリング材にもウレタンが含まれており、その耐久性や防水性、耐薬品性が重要視される場面で活用されています。特に、ウレタン塗料は耐候性に優れ、外装用途で広く使用されています。また、ウレタン接着剤は強力な接着力と柔軟性を併せ持ち、様々な素材の接合に使用されています。
機械部品
耐久性と摩擦特性から、様々な機械のローラーにも使用されています。例えば、ATMの紙幣搬送用ローラー、工場の搬送コンベアなど、幅広い分野で活躍しています。これらの用途では、ウレタンの特性が安定した動作と長寿命を実現しています。ウレタンローラーは、金属製の芯にウレタンゴムを圧着させて製造され、使用目的に応じて硬度や形状を調整することができます。
ウレタンとゴムは似ている…?
ウレタンはクッション材、断熱材、塗料、接着剤、ローラーなどに使用され、ゴムはタイヤやガスケット、防振材などに使用され、ともに幅広い用途で使用される素材です。
ゴムは形状の自由度が比較的低いのですが、ウレタンは液状原料から様々な形状に成形可能という違いがあります。そのためウレタンは柔軟性や加工のしやすさを活かした用途が多く、ゴムは主に弾性や耐久性を活かした用途が多いです。優劣はなく、特性の違いにより、用途に応じて適切な材料が選択されています。
3. ウレタンを扱う企業の仕事ってどんなことをするの?
ウレタンを扱う仕事には様々な職種があります。以下に代表的な職種を紹介します。
製造関連職
ウレタン製品を実際に作り出す仕事です。例えば、ウレタンの原料を混ぜて発泡させる「原料調合工」や、発泡させたウレタンを成形する「成形工」などがこれに該当します。また、スラブウレタンを必要な形にカットする「裁断工」も製造工程に含まれます。
加工・仕上げ職
ウレタンフォームを製品として完成させるための作業を行う職種です。縫製工としてクッション材を布で包んだり、製品の仕上げを行ったりします。
品質管理・検査職
ウレタン製品の品質が規格に合っているかを確認する重要な役割です。製品の性能や耐久性がしっかりしていることを確認するため、細かいチェックを行います。
技術開発職
新しいウレタン製品や技術の開発を担当します。たとえば、より快適なマットレスや環境に優しい断熱材の開発に取り組むことがあります。
施工関連職
建築現場でウレタンを吹き付ける「断熱材施工技術者」などがこの職種に該当します。住宅やビルにウレタン断熱材を使って、エネルギー効率を高める工事を行います。
営業・マーケティング職
ウレタン製品の販売や、企業の製品を世に広めるためのマーケティングを行います。市場調査や製品戦略の立案を通じて、どのようにウレタン製品をプロモーションしていくかを考えます。
オーダーメイドで商品を作り上げることも。「こういう用途で使いたいんだけど…」と相談を受けたり、どこに使われるかわからないまま、図面を見て最適な製品に仕上げるようなケースもあるようです。
4. ウレタンを扱う仕事のやりがいは?
社会貢献や自分自身のキャリアの発展など、多様な満足感を得られる仕事にかかわれるやりがいがあります。
幅広い産業への貢献
これまで述べてきたように、ウレタンは自動車、建築、家具、電子機器など多岐にわたる産業で使用されています。そのため、自分の仕事が社会の様々な分野に貢献していることを実感できます。
技術的な挑戦
ウレタン製品の開発や製造には高度な技術が必要です。例えば、発泡ウレタンの施工には専門的な知識と熟練した技術が求められ、その習得過程にやりがいを感じることができます。また、今までにない製品やオーダーメイドでの製品づくりの相談を受けることもあり、要望に応えるための新しい取り組みなども行われます。
成長市場でキャリアを積める
ポリウレタン市場は成長を続けており、2024年から2029年にかけて年平均成長率5.88%で拡大すると予測(※1)されています。成長産業に携わることで、自身のキャリアの発展とともに、業界の発展にも貢献できる喜びがあります。
※1 ポリウレタンの市場規模と市場規模株式分析 – 成長傾向と成長傾向予測
5. 未経験でもウレタンを扱う仕事に挑戦できるの?
多くのウレタン関連企業では、未経験者でも積極的に採用しています。ウレタンの製造や加工の仕事は、特別な資格が必要なわけではなく、入社後に必要な知識やスキルを学ぶことができるのが特徴です。製造業や品質管理の仕事では、「未経験OK」としている求人も多く見られます。
ウレタン製品の製造や加工は、基本的な手順を覚えることで始められる職種が多く、特に自動車関連や家具関連の製品では比較的シンプルな作業が多いです。また、企業によっては、キャリアアップを目指せる制度や資格取得支援も行っているため、経験を積むことで技術者として成長することも可能です。
1級熱絶縁施工技能士(吹付け硬質ウレタンフォーム断熱工事作業)、登録ウレタン断熱基幹技能者、建築施工管理技士(1級・2級)、断熱施工技能者
上記はウレタン関連の仕事において専門性や技能を証明し、キャリアアップにつながる資格の一例です。
まとめ:ウレタン業界の仕事は幅広いチャンスがある!
ウレタンは、多様な産業で使用されている非常に重要な素材であり、その需要は今後も続くと予想されます。ウレタンを扱う企業での仕事は、製造や加工から営業、技術開発まで様々な職種があり、未経験者でも挑戦しやすい環境が整っています。
未経験の方にとっても、ウレタン業界は学びながら成長できる場として魅力的です。もし興味を持ったなら、ぜひウレタンに関連する企業の求人情報をチェックしてみてください。
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