
・昇進の打診をされたのだけど、責任が増えてプレッシャーが大きそうだ。
様々な転機において、キャリアアップについて改めて考えることがあると思います。
そんな時に、「そもそもキャリアアップにメリットはあるのだろうか?」と疑問に思うことはありませんか?
キャリアアップとは、簡単に言えば、仕事のスキルや能力を高めたり、仕事の幅や裁量を広げたりすることによって経歴を高めるということですが、本当に経歴を高める必要なんかあるのだろうか?と感じる方は少なくないのではないでしょうか。
確かにキャリアアップにはメリットがある一方で、デメリットもありそうです。
ですが、私は、キャリアアップにはメリットの方が圧倒的に大きく、その最大のメリットは、「人生の豊かさが増すこと」だと考えています。
人生の豊かさが増すとはどういうことか、なぜ、キャリアアップすることによって人生の豊かさが増すのか、この記事ではそれらについて詳しく解説したいと思います。
1.キャリアアップのメリット
1-1.キャリアアップの最大のメリットは人生の豊かさが増すこと
なぜ、キャリアアップをすることで人生の豊かさが増すのか。それは、キャリアアップすることにより、これらの分野における選択肢が増え、自分自身で方向性を決定できる機会が増えるからです。
キャリアアップすることで、仕事そのものの選択や、働き方の選択において自由度が増すようになります。
例えば、仕事の専門性を高めたり、仕事の幅を広げることで、組織(会社)からの信頼感が高まり、新しい仕事のチャンスをもらえたり、自分がやりたい仕事や部門への異動を打診する発言力を得ることができます。
また、経歴やポジションが上がれば、実務を担当するのではなく、仕組みを構築したり、マネジメントする立場になります。それにより、仕事の進め方や働き方、休み方の自由度が増したり、働く環境の改善に関する発言力や影響力を持つことが可能となります。
具体的にいくつか例を挙げてみると、キャリアアップをすることで以下のようなことが可能になります。
・今の部門での実績が認められ、興味のあった別部門の仕事にチャレンジする機会を得る。
・マネージャーになることで、全く違う分野の仕事にチャレンジする機会を得る。
・正社員から業務委託社員に雇用契約を変更し、ジョブ型の働き方を行う。
(働き方の選択)
・マネージャーとして裁量労働制を認めてもらい、曜日によって働く時間帯を変える。
・会社における業務フローが非効率だったためフローを改善することを提案し、時短を実現する。
仕事や働き方に関して、自分で選択する余地がない状態は大きなストレスにつながります。
だからこそ、キャリアアップすることによって、仕事や働き方を変える、働く場所や時間配分を変えるといった選択を自分の意志で決定できる機会が増えることはとても大きなメリットなのです。
ちなみに、キャリアアップしたのに、責任や労働時間だけが増えてしまい自由度が減ってしまったという方がいれば、それは実はキャリアアップしたことにはなりません。キャリアアップしたようで、実は元のキャリア(経歴やポジション)の状態で、上のキャリアの仕事をしているだけだからです。
本来、キャリアが上がることによって、仕事の選択、働き方の選択における裁量権は増すはずですから、経歴やポジションとともに裁量権が増して初めて、キャリアアップをしたと言えるでしょう。
1-2.人生の豊かさを構成する3つの自由度
前章では、キャリアアップの最大のメリットは人生の豊かさが増すことで、その理由は、経済的、時間的、精神的に自由度が増すからだという解説をしました。
この章では、なぜキャリアアップにより、経済的、時間的、精神的に自由度が増すのか、この3つのメリットについて具体的に解説します。
①経済的な自由度
キャリアアップをすることで経済的な自由度が増します。なぜなら、キャリアアップをすることで会社からの評価が高まり、給与がアップするからです。
仕事の専門性を高めることで、基本給が上がるほか、資格取得による資格手当や、職種によっては成果によるインセンティブが発生することもあるでしょう。
また、経歴やポジションが上がることで、役職手当がつきますし、会社によっては交際費などの経費利用の裁量権を得ることもできます。
このように、キャリアアップすることにより給与がアップする可能性は高く、結果、経済的な自由度が増すことになります。
②時間的な自由度
キャリアアップをすることで時間的な自由度が増します。なぜなら、キャリアップすることで、働く条件がよくなったり、仕事の進め方や働き方に対して自ら改善する機会が増えるからです。
例えば、仕事の専門性を高めることで、組織から有用な人材と評価され、フルリモートでの勤務が認められるなど、待遇がよくなることもあるでしょう。
また、経歴やポジションが上がることにより、仕事の進め方や働き方を自分自身で提案したり、設計したりできるようになることもあります。
実務を担当するのではなく、仕組みを構築したり、マネジメントする立場になると、現場に張り付いていなくても継続的な成果を上げられるようになります。
その結果、働く時間帯を変えたり、まとまった休みを取ったりと、働き方の選択肢も増えるようになるのです。
また、組織に対する影響力が高まるほど、自ら待遇改善や環境改善に対する働きかけを行う機会も増えるでしょう。
組織の規模や風土によって難易度は異なりますが、働き方の改革に自らが関与できることは働く条件を良くし、時間的な自由度が増すことにつながります。
さらに、キャリアアップをすることにより自己成長するスピードが速くなります。なぜなら、仕事をするにあたっての視座が高まるからです。高い視座から業務全体を俯瞰してみることによって、実務スキルやマネジメントスキルが上がります。
その結果、キャリアアップのスピードがさらに高まったり、仕事の仕方や働き方に関して、より生産性の高い提案や改善ができるようになるという好循環も期待できますね。
③精神的な自由度
キャリアアップをすることで精神的な自由度が増します。なぜなら、前述したように仕事や働き方の選択において自分自身で決定する機会が増えるからです。
自分自身で決定する余地がないことが一番精神的にはつらいもの。キャリアアップすることにより、選択肢が増え、自分自身で方向性を決定する機会が増えることは精神的な自由度を増すことにつながります。
例えば、親の体調が悪くなり、介護のためにフレックスタイムで働きたいという状態になったとします。一般的にはその会社がフレックス制度を導入していなければ対応はなかなか難しいものです。
しかし、キャリアアップし、マネジメント的な役割を行うポジションにいれば、フレックスタイムで働いても生産性を落とさない働き方ができる可能性が高まりますし、経歴が高まっていれば、会社に対して働き方の変更を提案できる可能性も高まります。
実は、これは自分の問題だけではありません。同僚や部下が同じような状態になった時に、見ていることしかできないのは精神的につらいものです。会社に対して進言したり、その人の状況に合わせた働き方を考慮してあげられるポジションになることで、精神的な自由度が増すことになります。
また、キャリアアップにより決断をする機会が増えることで、決断するための見識やスキルが身につきます。物事を決めるスキルが身につくことは精神的な自由度を高めることにつながりますね。
キャリアアップをすることで、プライベートにおける活動の幅も広がる可能性があります。
なぜなら、キャリアアップをすることによって、裁量権を持って決断したり、組織やメンバーをマネジメントしたりする経験は、プライベートの生活においても役立つことが多いからです。
例えば、部下や後輩との向き合い方を考えることは、家庭で子供との向き合い方を考えることに役立ちますし、組織の中で発言力を持ち、影響力を発揮することは、例えば町内会やマンションの理事会など、地域のコミュニティにおいて影響力を発揮することにも通じます。
仕事を通じてキャリアアップをすることで仕事以外の部分でも自分の関われる役割や影響力を広げることが可能になるのです。結果、人生の豊かさが増すことにもつながるかもしれませんね。
2.キャリアアップにデメリットはあるか?
キャリアアップにデメリットはあるか?と言われると、私は正直、キャリアアップそのものにデメリットはないと考えています。
ネットで検索してみると、キャリアップのデメリットとして以下のようなものを感じる方がいらっしゃるようです。
・プライベートが犠牲になる
・責任が重くなる
・部下のマネジメントをしないといけない
確かに、いずれもキャリアアップをする過程で味わう苦しさではあるかもしれませんが、それをそのままデメリットとしてとらえるのは少々乱暴なような気がします。
長時間労働になるのは生産性の問題と大きく関連しますし、プライベートが犠牲になるのは本人の選択の問題でもあります。
また、責任が重くなったり、部下のマネジメントをする必要が生じることは事実でしょうが、これもデメリットとして捉えるかどうかは自分次第ではないでしょうか。
キャリアアップすることでスキルが高まれば、業務量が増えても労働時間を短縮することは可能ですし、働き方や休みの取り方を自分で選択したり決定できるようになります。結果、プライベートを犠牲にするといった選択もしなくてよいかもしれません。
また、責任が重くなることや部下のマネジメントをすることで、自分の視座が高まり、スキルアップのスピードが増すことに繋がります。これは自己成長のために貴重な機会だとととらえることもできるのではないでしょうか。
以上のことも含めて、強いてキャリアアップのデメリットを挙げるとすると、変化と向き合わないといけないということではないかと思います。
先ほどの事例のいずれにおいても、環境の変化が生じていますので、その変化に向き合うという必要はあります。
場合によっては、その時期が家庭での役割負担が大きい時期に重なったり、他の転機と重なることでプレッシャーが大きくなりすぎたり、その選択を取れなくなったりということがあるかもしれません。
その変化を受け入れ、新しい環境に適応して結果を出していく必要があるというのが、キャリアアップの厳しい面といえるでしょう。
しかし、これは、仕事の幅、人生の幅を広げるために一時的にかかる負荷でもあります。これらを乗り越えることで、仕事においてもプライベートにおいても、対応力が増し、キャパシティが増えるというメリットにつながると考えることもできますね。
キャリアアップによる変化がデメリットではなくメリットになるとよいなあと思います。
3.キャリアアップの2つのパターン
この章では、キャリアアップの方向性について触れたいと思います。
キャリアアップには大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、自社内でのキャリアアップ、もう1つは転職によるキャリアアップです。
それぞれについて解説します。
自社内でのキャリアアップ
自社内のキャリアップには大きく3つの選択肢があります。仕事の専門性を高める、仕事の幅を広げる、リーダシップやマネジメント能力を身につけるの3つです。
いずれにしても、社内での評価が高まり、ポジションが高まることで、さらに選択肢が増えたり、自らの影響力が高まります。
新しい働き方やライフスタイルに社会が寛容になってきた最近においては、仕事力を上げ、ポジションを高めることで自由な働き方を選択するチャンスが高まるのです。
転職によるキャリアアップ
転職によるキャリアアップは、社内で専門性を高めたり、仕事の幅を広げる→ポジションが上がる→そのスキルや経験を活かせる会社に転職する→さらに専門性を高めたり、仕事の幅を広げる→ポジションが上がる→そのスキルや転職を活かせる会社に転職をする。
といった形で、縦→横→縦に流れでキャリアがアップしていくイメージとなります。
以上のように、自社内でキャリアアップする方法もありますし、転職によってキャリアアップする方法もあるわけですが、ここでお伝えしたいのは、チャンスが有るのであれば、ぜひ、この社内での縦の動きをしてほしいということです。
仕事の専門性を高めたり、仕事の幅を広げたり、リーダシップやマネジメント能力を身につけたりすることによって、ポジションを上げるという動きを一度は経験してほしいのです。
なぜなら、この縦の動きをすることで、スキルや知識、見識が高まり、人生の選択肢が増える可能性がありますし、社内でのキャリアアップ、転職によるキャリアアップを実現することで、その選択における決定権が増す可能性があるからです。
例えば、働く時間帯の変更や時間配分の変更など、実際に、キャリアアップしてみないとこんな働き方ができるんだと想像すらつかないということもあります。
私自身が体験していることでもありますが、キャリアアップすることで新しい働き方が見えたり、目指したいというロールモデルに出会えることもありますので、ぜひキャリアアップを目指してほしいなあと思うのです。
元トリマーで、ほぼ実務未経験で事務スタッフから弊社でのキャリアをスタートしたわけですが、現在は業務フローの構築やプロジェクト管理など、業務管理全般をマネジメントする立場になりました。
仕事の幅や専門性を高めることによってキャリアアップを実現した事例だと思います。
キャリアアップした結果、この先、仮に旦那さんが転勤になるなど、大きな転機があったとしても、リモート勤務で仕事を続ける、事務職ではなくプロジェクト管理に関わる業務スタッフとして転職をする、業務委託でプロジェクト管理の仕事を請け負うといった選択肢が選べる立場が確立できています。
一般事務としてのスキルアップだけでは実現しないキャリアの作り方ですね。
仕事の専門性を高めたり、幅を広げることによって、社内でのポジションを上げてきました。
その結果、仕事の進め方や働き方の改善に関する発言力や影響力も増し、選択肢を広げたり、自分で決定権を持つチャンスが増えています。
弊社の元正社員で、現在、業務委託契約で制作を担当してもらっている女性は転職によってキャリアアップをしてきました。
弊社に入社する前はコールセンターのスタッフでしたが、入社後、初めて制作の仕事を経験し、約3年で制作としてのスキルを磨きました。
その後、本人がライフワークとして関わりたかった分野の営業職にキャリアチェンジし、営業力を身につけました。
そして、子育てと仕事を両立するために正社員ではなく、個人事業主として独立することを選択。昨年には制作会社として法人も設立し、古巣の弊社との取引も開始したのです。
事務部門で専門性を高め、視野を広げて転職。制作スキルをアップして、さらに視野を広げて転職。営業スキルを獲得し、独立と、まさに縦→横→縦のキャリアアップですね。
今は、新たなスタッフを雇い、マネジメントにもチャレンジしています。現在3児のママですが、キャリアアップをすることで、時間配分に関する決定権を自分で持ち、子育てと両立して働くことができています。
4.まとめ
この記事では、キャリアアップにおけるメリットを解説しました。
キャリアアップをすることで、仕事や働き方の選択に対する自由度が増し、人生の豊かさが増すという最大のメリットがあります。
しかし、キャリアアップの過程で、様々な変化と向き合わないといけない厳しさも伴います。
それをデメリットと感じることもあるでしょう。それでも、私は、一度はキャリアアップを目指してみてほしいと思います。
なぜなら、仕事の専門性を高めたり、マネジメント経験を得たり、高いポジションにつくことで、仕事の仕方や働き方に関する見え方や捉え方が変わるからです。そして、それによって価値観が変わることもあるからです。
この記事が、キャリアアップを前向きにとらえるきっかけになればうれしく思います。