
コロナ後から、転職エージェントとの面談が電話やWEB面談で行われるケースが増えています。求職者にとっては、移動時間が必要ないですし、業務の合間や業務後の都合の良い時間に相談することも可能ので大きなメリットです。
特に電話面談は、時間や場所の制約がさらに少なくなるので、とても便利ですね。しかし、電話面談は注意しなければ転職エージェントとうまく意思疎通ができず失敗するケースが多々あります。
転職エージェントとの電話面談が成功するというのは、転職エージェントがその人のことを良く理解できて、本当にマッチする求人をご紹介できる状態のことをいいます。
この記事では、転職エージェントとの電話面談を成功させるための10個のポイントについて失敗事例も含めて解説します。
1.転職エージェントとの電話面談を成功させるための10のポイント

転職エージェントとの電話面談を成功させるための10個のポイントについて、事前準備・電話面談の最中・電話面談の終了後という3つのプロセスに分けて解説します。
1-1 事前準備の4つのポイント
電話面談を成功させるためには、そのための基本的な準備がとても重要です。まずは4つのポイントを解説します。
“事前準備のポイント”
Point1 じっくり話せる場所と時間を確保する
なぜなら、電話面談では表情や身振り手振りなどアクションでのコミュニケーションがとれないため、人柄や意図が伝わりにくかったり、意思疎通において齟齬が生じる可能性があるからです。
例えば、
・周りがうるさい環境で大きく強い声で話す必要がある
・プライベートな空間が確保できておらず、個人的な情報を発言しにくい
・15分程度しか時間を確保していなかった
といったケース。
大きく強い声で話していると横柄な印象を与える可能性もありますし、個人的な情報を発言しにくい状況では、深い本質的な相談はできません。また、15分程度の短時間では、サポートするために必要なヒアリングが全くできないということもあります。
転職エージェントとの良好な関係を構築したり、質の高い情報交換を行う上でも、じっくり話せる場所と時間を確保することがとても大事です。
電話面談の際に、うるさい場所や話しづらい環境で応じる方がいらっしゃると、転職に関する本気度を疑ってしまうことがあります。
転職活動をしっかりサポートするためには、個人的な情報やデリケートな情報に関しても質問する必要があります。そのための準備をしていただけないと、適切な求人のご紹介やアドバイスを行うことが難しくなってしまいます。
転職活動というとても重要な転機において、お互いの時間を有効に使うためにも、じっくり話せる時間と場所の確保はしっかりしてほしいと思います。
・出先で面談を受けてしまい、騒がしさから集中できなかった
Point2 書類を準備しておく
なぜなら、履歴書や職歴書などの書類が手元にないと、時系列でうまく説明できなかったり、キャリアの振り返り、確認に手間取るからです。
例えば、書類をもとに質問するケース。
「社会人1年目のこの部分の経験についてもう少し詳しくご説明いただけますか?」といったように、転職エージェントが書類を見ながら質問した際に、そこに記載している内容などを把握していた方が話はスムーズです。特に顔が見えない分、同じ資料をもとに話ができるのが理想です。
自分の経歴を事前にまとめておらず説明が上手くいかなかったなどということがないように、たとえ不完全なものであっても準備をしておきましょう。
電話面談は企業に直接応募するのとは違いますので、不完全な状態でも問題ありません。キャリアの変遷やそれぞれのキャリアにおける実績などがしっかり説明できる状態になっていると大変助かります。
・書類が手元になかったため、職種ごとの経験年数などを正確に伝えられなかった
Point3 面談の流れをイメージしておく
なぜなら、面談の流れをイメージしておくことで適切な準備ができますし、面談の時間が節約できて効率的だからです。
例えば、
・履歴書や職歴書の内容の確認
・転職活動の状況の確認
・希望や条件の確認
といった転職エージェントからヒアリングされるテーマをつかんでおくだけでも、事前準備がしやすくなります。
面談の流れが全くイメージできていないと緊張もしますし、準備不足で全く答えられない、その場の感覚で返答し、内容がぶれてしまうといったことも生じます。
しっかりした事前準備をするために、面談の流れをイメージしておくことが大事ですね。
電話面談のご案内をする際に、面談の流れをお伝えするようにはしていますが、事前に確認をしておいていただけると助かります。
中には、紹介してほしい求人の条件を伝えるだけの場だと思っていたという方やすぐに求人の紹介をしてもらえると思っている方もいらっしゃいます。
適切なアドバイスを行うためには、プロセスに沿ってヒアリングをする必要がありますし、求人のご紹介に時間がかかることもありますので、全体の流れをつかんでおきましょう。
面談の大まかな流れは次のようなイメージとなりますので、参考にしてください。
・面談が自分が想定していた時間より長く、途中で終了せざるを得なかった
Point4 質問される内容を想定し、返答を整理し、メモしておく
なぜなら、質問を想定せず、その場限りの返答だと、伝えたいことを伝え漏れることがありますし、返答がぶれてしまうこともあるからです。
例えば、
・転職先を選ぶ時の条件やその優先順位を聞かれた時
・退職理由を聞かれた時
いずれも事前に想定してないとすぐには答えられないものですし、熟慮せずに答えると誤解を生む恐れもあります。
これらのように転職エージェントからの質問には、その場で考えて答えるにはちょっと難しい質問も多くあります。ですので、事前に質問を想定して、返答を準備しておくことが大事です。
ですが、事前に考えているかどうかで面談時の思考が深まり、より面談の価値が高まりますね。
面談では次のような項目についてヒアリングを行いますので、参考にしてください。
・質問への返答がぶれていることに自分でも気づき、わけがわからなくなってしまった
1-2 電話面談中の4つのポイント
続いては電話面談中の4つのポイントについて解説します。
“電話面談中のポイント”
Point5 自己紹介で自分の人となりを伝える
なぜなら、書類上の経歴だけでなく、求職者の人柄や雰囲気、性格などをを知っていることで、転職エージェントも企業に紹介しやすくなるからです。
例えば、
・ハキハキとした話し方や簡潔な自己紹介を行う
・口下手でも素直さや誠実さが伝わる自己紹介を行う
第一印象がよければ、転職エージェントは自信を持って企業に推薦しやすいですし、逆に口下手だけど、素直で誠実な性格が伝われば、転職エージェントはそこを企業にアピールしようと思うでしょう。
お互いの人となりを知っていたほうが、マッチングの可能性が高くなりますから、自己紹介はしっかりと行いましょう。
私たちが企業に求職者の方をご紹介する際には、経歴だけでなく人柄も重視します。なぜなら、人柄が社風とマッチするかどうかは長く働くための大きな条件となるからです。
そのためにも、自己紹介でしっかりと、その方の人柄や性格を知りたいですね。中には、自己紹介はそこそこにビジネスライクに面談を進めたがる方もいらっしゃいますが、ビジネスの現場と同じで、お互いの信頼関係を構築するための第一歩として、自己紹介は大事にしていただきたいと思います。
また、私たちも心理的に、好印象の方であれば、企業にも積極的に紹介しやすいですし、逆に印象の悪い方はご紹介するのに躊躇してしまいます。そういう点でも自己紹介はとても重要なポイントとなります。
・しっかりとした自己紹介ができず、終始ビジネスライクな会話になってしまった
Point6 キャリアにおける実績やスキルを具体的に話す
なぜなら、具体的な実績やスキルがわからなければ、適切なアドバイスを行うのは難しいですし、紹介する求人の選択や選考通過の可能性を見誤ってしまうからです。
例えば、営業職であれば
・どのような営業手法を行っていたのか
・そこでの実績はどうだったのか
・他のメンバーと比較してどうだったのか
など、これまでの実績やスキルについてなるべく具体的に回答することで、仕事力や市場価値を判断してもらうことが可能です。
転職エージェントは求職者のサポーターであると同時に企業の採用担当者のサポーターでもあります。転職エージェントが行う質問は、求人企業が知りたい情報でもあります。
具体的な説明がなければ、企業側にも具体的な説明ができませんので、企業との面接のように緊張する必要はありませんが、提供するべき情報は具体的に伝えることが大事です。
私たちは、ご紹介したい求人に対してスキルがマッチしているかどうかを見極める必要がありますので、面接のように堅苦しくはなくとも、ご経歴や実績を詳しくヒアリングします。
それらは求人企業にご紹介する際に、必ず聞かれることでもあります。我々がその点に関して明確に答えられないと、企業からの信頼を失う可能性もありますので、具体的なヒアリングができないとご紹介を躊躇してしまうことにも繋がります。
転職エージェントに対する説明だから端折っても良いと思っている方が見受けられますが、我々が企業にしっかりとアピールできるように、経歴や実績に関してはできるだけ具体的にお答えいただけると助かります。
・スキルを過大にアピールしてしまい、求められるスペックの高すぎる求人を紹介された
Point7 退職理由や転職希望は本音を明確に伝える
なぜなら、退職理由や転職希望を明確に理解していないと、転職エージェントは企業に自信を持って紹介できませんし、ご紹介後にミスマッチの可能性が高まるからです。
例えば、
・職場の人間関係が退職理由の主な原因なのに、素直にそれを伝えていただけない
・スキルのミスマッチが生じていたのにそれごまかす
といったことがあると求人を紹介する際に社風との配慮などができなくなり、次の職場でも同じことが起きる可能性があります。
企業への直接の応募と違って、退職理由や転職希望理由に関して、本音が言えるというのが転職エージェントを利用する大きなメリットです。
退職理由や転職希望は本音を明確に伝えましょう。
私たちとの電話面談は、企業との面接の場とは違うので、選考を意識せず遠慮なく本音を伝えていただきたいと思います。場合によっては、転職活動のアドバイスとして厳しい指摘をすることもあるかもしれませんが、退職理由や希望条件は本音を出してみないと課題点も見えないものです。
前職でのミスマッチの原因がどこにあったのかを一緒に探ることで、ネガティブではなくポジティブな方向性での転職を支援できるとなると理想ですね。
・希望条件を伝えきれておらず、紹介された求人が的外れだった
Point8 質問をする
なぜなら、転職エージェントがあなたの転職の背景をしっかり理解できているかどうかを確認することができますし、質問することでそのエージェントのレベルがわかるからです。
例えば、
・希望条件についての印象
・自分の市場での評価
・今何をやるべきか、何に注意するべきか
といった質問が有効です。
転職時の希望条件をいくつか伝えたけれども、優先順位について聞かれなかった場合や伝えた内容を誤解されているような不安を感じた際は、しっかり確認をしたり、補足しておくことが大事です。
また、例えば、今何をやるべきか、何に注意するべきかを聞けば、転職活動における自分の課題感を教えてくれることもありますし、転職エージェントのキャリア支援のレベルがわかります。
求職者と転職エージェントの間で意思疎通が正しく行われていないと紹介される求人が希望とミスマッチする可能性が高まります。相手を信頼するためにも質問をし、コミュニケーションや理解の齟齬をなくすよう歩み寄ることが大事ですね。
面談時に質問をいただくことは大歓迎です。
我々も抜け漏れがないようにヒアリングを行っているつもりですが、聞きそびれることや意図を勘違いして受け止めてしまうこともあります。そんな時にフォローしていただけると大変助かります。
また、質問をいただくことで転職活動のどのプロセスで苦労しているのかを判断することができるので、適切なアドバイスもしやすくなります。足りないなあと思った情報や知りたいことに関しては、どんどんご質問ください。
よく頂く質問としては次のようなものがありますので参考にしてください。
・どのような流れで転職活動が進むのか
・今やっておくべきことはあるか
・まだ転職活動の方向性に悩んでいる状況を理解してもらえず、求人への応募を急かされることになった
1-3 電話面談後の2つのポイント
最後は電話面談後の2つのポイントについて解説します。
“面談後のポイント”
Point9 連絡の取り方を確認する
なぜなら、密な連絡が取れないと選考のタイミングを逃す可能性があるからです。
例えば、
・企業側の役員のスケジュールの関係で急遽、明日の面接が可能になった
・他の選考者の関係で早急な面接設定が必要になった
といったケースなど、お互いのレスポンスの速さがとても重要となります。
転職活動は縁とタイミングでもあります。せっかくの縁を活かすためにも連絡のとり方をしっかりと確認しておきましょう。
在職中だと細かく連絡をとることが大変なことは重々承知していますが、転職活動は縁とタイミングがとても大事です。
お互いにレスポンスよくやり取りができることが重要です。
企業側から面接設定の打診が来ても、なかなか返答がいただけないようだと、面接が流れることもありますし、その後の紹介に躊躇してしまうこともあります。
PCメールだけでなく、SMSやLineも活用して密に連絡がとれるようにできていると良いですね。
・PCメールしか伝えていなかったので、メールの確認がリアルタイムでできなかった
Point10 相性が合わなければ担当変更する
なぜなら、相性が合わない人とやり取りをすると、素直な意見が言えなかったり、ストレスがたまり転職活動にプラスにならないからです。
例えば、
・こちらの意見を全く聞いてくれない
・関心のない求人への応募を強く促してくる
など、相性が合わずよい関係性の築けないエージェントがいることは事実です。
そんな時は、臆せず担当者を変えてもらうことが大事です。それに応じてもらえないのであればエージェント自体を変えることも検討するべきですね。
もちろん精一杯の対応をしますが、なかには相性が合わないと言うこともあるかもしれません。その際ははっきり変更を申し出ていただいて大丈夫です。直接は伝えづらいということであれば、会社宛にご連絡いただいても構いません。
ご相談いただいた求職者の方が、転職活動を成功できるように最善の選択を取りたいと考えております。
・人柄が信頼できず、紹介してもらった求人を素直に検討できなかった
2.まとめ
今回の記事では、転職エージェントとの電話面談を成功させるための10個のポイントについて解説しました。
② 書類を準備しておく
③ 面談の流れをイメージしておく
④ 質問される内容を想定し、返答を整理し、メモしておく
⑤ 自己紹介で自分の人となりを伝える
⑥ キャリアにおける実績やスキルを具体的に話す
⑦退職理由や転職希望は本音を明確に伝える
⑧ 質問をする
⑨ 連絡の取り方を確認する
⑩ 相性が合わなければ担当変更する
電話面談は在職中の方も受けやすく、うまく活用すれば対面の面談と変わらないクオリティでの情報交換が可能です。上記のポイントをしっかり押さえて、準備をした上で臨みましょう。
求職者の方と二人三脚で転職活動を進めていきたいと考えているので、電話だからこそ対面以上に事前の準備や情報共有、積極的なご質問など、お互いにとって有意義な時間にできればと思います。
そういったスキルは必ず企業との面接にも活かすことができますよ!