
1.【転職成功者の事例集】一般事務の志望動機
個人情報や企業情報などがわからない範囲で、趣旨は変えずに一部手直しをしていますが、実際の応募時に使われた志望動機です。一般的な模範例のように理路整然とした文章でない部分もありますが、どれも応募者の思いが伝わってくる志望動機です。
アピールポイントを、「自分の強み」「仕事への興味」「会社への興味」の3つのパターンに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【自分の経験やスキルなどの強みをアピールする】
■事例① 豊富な事務経験を活かして一般事務に応募したケース
営業事務、OA事務では、Excel・Word・PowerPointといったOfficeソフトを使用してのデータ入力や見積り、報告書等の書類作成、書類や報告書の文章校正、郵便物の仕分け・発送や電話対応、メール対応、面接対応、来客対応、クライアントや外部業者との日程調整、ファイリング、備品の管理、シフトの作成・管理、スタッフ管理、立会い業務、給与計算などの経験があります。
いずれも貴社の仕事内容に活かせる経験ですので、経験を活かして頑張りたいと思います。
※解説
■事例② 詳細な仕事内容をつかんだ上で応募したケース

【仕事への興味、意欲をアピールする】
■事例③ 接客業から一般事務に応募したケース
※解説
■事例④ 業務範囲の広い一般事務の募集に応募するケース
事務職を志した際に、職業訓練校にて簿記について学びましたが、今までそれを活かす機会がありませんでした。一般事務の経験だけでなく、経理事務にも携われるとのことで、簿記の知識をこの機会に活かすことが出来ればと思い、志望いたしました。
※解説
■事例⑤ 社内連携が求められる事務職に応募するケース
そのため、幅広い知識を習得できる貴社の環境に魅力を感じました。現在の業務でグループ会社からの問い合わせ対応や、新システム導入時の意見の取りまとめを担当しましたので、この経験で身につけたコミュニケーション能力を貴社では活かすことが可能だと考えました。
入社後は様々な事を習得し、何事にも積極的に取り組みたいと考えております。今までに学んだPCスキルとコミュニケーション能力を活用し、サポート業務を通して貴社に貢献したいと考え志望させていただきました。
※解説
【事業内容への興味をアピールする】
■事例⑥ 事務経験はあるものの全くの異業種に応募するケース
△△では、開業の構想段階から総合的に支援されてると知り、貴社のような経験や知識がある企業にサポートしてもらえるのは心強く、□□様にも安心を届けられると思いました。まずは、先輩方に教えて頂く業務をきちんと覚えサポートしていきたいと思います。
また、前職のデータ入力で培った集中力、継続力や経理業務で培った正確性を生かし、貴社を支え、□□の方々や□□様に信頼と安心を届ける役割を担っていきたいと思います。
※解説
■事例⑦ 接点のあるサービスの運営会社に応募するケース
貴社の取り扱っている○○のサービスには個人的に20年以上お世話になっており、事務用品や通販事業にとても興味があるので、ぜひ経験を活かして、○○のサービスをさらに広げる事業に携わりたいと考えています。
直接お話させていただく機会をいただければ幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。
※解説
以上、実際の応募時に書かれた志望動機をご紹介しましたがいかがでしょうか?
正直なところ、あまりうまく文章ではないなと感じられた方も多いのではないでしょうか?
でも、どの志望動機も書類選考を通過し、実際に採用に至った方のものばかりです。
中小企業に応募する際にいちばん大事なのは、思いや意図がしっかりと伝わることです。もちろん、会社の戦力として活躍できそうなスキルや経験があることが前提であることも多いですが、率直な気持ちを文章にぶつけてみましょう。
とはいえ、以下のお手本のような説得力のある志望動機の方が、より思いが伝わるのは事実です。次の章では、なぜこの志望動機が説得力があるのか、どのようして説得力のある志望動機を書けばよいのかについて解説します。
【模範例】一般事務の志望動機
なぜなら、私はこれまで3年間、不動産会社にて一般事務を担当する中で、業務の生産性の向上に努めてきたからです。具体的には、複雑な資料整理や電話・来客といった受付・接客業務に対応するだけでなく、業務管理ツールの改善やIT化、紙資料のデジタル化などを進めてまいりました。
例えば、日常的に使用しているエクセルでは簡単な関数やマクロを使って改良を続けていますし、chatworkやzoomなどのITツールや業務管理のクラウドサービスなどに触れる機会も多く、業務に合わせたカスタマイズや運用ルール、運用フローの設計などにも積極的に関わってきました。
これらの経験が、貴社での業務改善にも活かせると感じております。
また、貴社を志望した理由としては、業務改善に関わる過程で、貴社のクラウドサービスへの興味が湧いたとともに、社員の成長を支援したり、多様な働き方を受け入れる柔軟な社風に共感したからです。
今後は、顧客の課題を解決する創造的なサービスを生み出す貴社の業務をサポートし、これまでに培ったスキルだけでなく、さらにスキルを磨いて事業の成長に貢献したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
2.一般事務の志望動機の書き方【準備編】

志望動機を書くための準備の手順は、上図のように大きく3つのステップに分かれます。この章では、それぞれのステップについて詳しく解説します。前半の仕事内容と適性の理解に関しては、別記事(【専門家が解説】一般事務と営業事務の4つの違いと求人データの分析)で詳しく解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
①一般事務の仕事内容と適性を理解する
一般事務は、具体的には、オフィス内で、パソコンを使用してデータを入力したり、社内外で必要な書類の作成や管理をしたり、郵便物の仕分け・発送や電話対応・来客対応をしたりする仕事です。
これらの業務に求められるスキルとしては、「辛抱強く作業を続ける力」や「効率的な業務処理能力」が挙げられます。
また、これらの業務に求められる適性としては、「
人からものを頼まれるのが好き」や「ポジティブで前向きな受け止め方ができる」といったことが挙げられます。なぜなら、一般事務は様々な部署から幅広い業務の依頼が来るからです。
急な仕事の依頼やちょっと無理な依頼にも気持ちよく応えたいと思えることが、一般事務に求められる重要な適性の1つとなると言えます。
②一般事務に興味を持った理由を整理する
別の職種に就いていたのに、なぜ一般事務の仕事に興味を持ったのか?
同じ事務職に就いていたのに、なぜ転職したいと思ったのか?
事務職に携わりたいと考えたきっかけや、関連する職務を経験した時に感じた適性・意欲を具体的に説明することが重要です。
なぜなら、企業は中途採用を行う際に、採用者に即戦力として活躍してもらうこと、長期に渡って活躍してもらうことを望んでいるからです。経験やスキルはもちろんですが、仕事への意欲の高さもそのための大きな判断材料の1つとなるのです。
一般事務の仕事に興味を持った点を整理した後は、「 仕事に対して貢献できる点」や「 希望職種での経験を通して実現したい将来像」までイメージできると、深みのある志望動機の作成に繋がります。
③その会社に興味を持った理由を整理する
②で一般事務の仕事への興味は整理できても、なぜ、その企業で働く必要があるのかということが大事だからです。
なぜなら、前述したように企業が採用者に求めているのは長く活躍してくれることですから、そのためには仕事内容だけでなく、会社へのロイヤリティが重要となるからです。
その会社に興味を持った理由を整理するには、会社の特徴をいくつかのテーマに分けてみると良いでしょう。
例えば、商品やサービス、社風、価値観、ビジョン、などのテーマに分け、それぞれどこに興味を持ったのか、なぜ興味を持ったのかを整理することができれば志望動機作成の準備が整います。
3.一般事務の志望動機の書き方【実践編】
この章では、前章での準備を踏まえて、実際に志望動機を書くにあたっての重要な3つのポイントを解説します。3つのポイントとは、PREP法で書くこと、肯定的に書くこと、第三者からの評価を盛り込むことです。
具体的に解説していきます。
①PREP法で書く

1つ目のポイントは、PREP法で書くということです。PREP法とは説得力を高める手法のことで、具体的には上図の4つ(Point、Reason、Exampl、Point)で構成されています。
特にビジネスの現場では、「結論ファースト」という言葉があるように、結論を最初に持ってきた方が説得力やインパクトが増します。
ここで1章でご紹介した志望動機をお手本を振り返ってみたいと思います。

まず、志望動機としていちばん重要な点を述べ、その理由について解説します。そして、その背景となる事例を紹介し、最後に改めて、要点をまとめています。
②肯定的に書く
正直なところ、転職理由がすべて前向きなものとは限らないでしょう。初対面の人とコミュニケーションを取る営業のような仕事は向かないからといった理由や土日休みの仕事がしたいからといった理由で一般事務を志望するケースもあるはずです。
ですが、それをそのまま書いてしまうのは志望動機として原則NGです。なぜなら、読み手はそこに応募者の意欲や向上心を感じないからです。
たとえ、一般事務に興味を持ったきっかけが前向きなものではなかったにしろ、準備編で行ったように、興味を持った理由を深堀りし、仕事に対して貢献できる点や希望職種での経験を通して実現したい将来像まで想像することで、肯定的な志望動機に昇華させることが重要です。
もし肯定的な志望動機にならないのだとしたら、そもそも一般事務の仕事に強い興味がない可能性もありますので、再度自分の気持ちを見つめ直す必要があります。
③第三者からの評価を盛り込む
自分の経験やスキルをアピールするにあたって、自己評価だけではその実力は伝わりにくいものです。なぜなら、業務を経験してきたことはわかっても、その業務の質がどうだったのか判断できないからです。
営業職や販売職のように売上目標を達成したかどうか、どれくらいの契約件数を獲得していたのかといった数字でアピールできると理想ですが、事務職ではなかなか難しいことも事実です。
そういった数字でアピールできない成果を、上司や同僚などの評価という形でアピールするのです。
例えば、「上司から資料がわかりやすいと評価をもらい、いつも資料作成を依頼されていた」、「業務の正確性を買われて、確認作業を任せれるようになった」といったように第三者の評価を盛り込むと説得力が増します。
上司との面談で評価されたことやお客様とのやり取りでほめられたことなどを思い出してみてください。
経験やスキルの裏付けとして、第三者からの評価を盛り込むことができれば、質の高い志望動機になるでしょう。
4.まとめ
この記事では、実際の応募者の志望動機の事例をもとに、一般事務の志望動機の書き方について解説しました。
志望動機を書くにあたっては実践編によるテクニックも大事ですが、準備がなによりも大切です。
実際の志望動機の例などを元に、一般事務に興味をもった理由をしっかり見つめ直すところから始めましょう。
記事内で解説したとおりですが、その上で、仕事に対して貢献できる点や希望職種での経験を通して実現したい将来像まで想像し、肯定的な志望動機を作ることが重要です。
ぜひ、思いや意欲の伝わる深みのある志望動機を作るための参考にしていただければと思います。