
『転職に失敗したくない!』
『学生時代の就活経験はあるけど、転職活動も同じでいいの?』
転職を考えたとき、ルールやマナー、転職の仕方などを不安に感じることはないでしょうか。
しかしその心配も、転職の注意点を把握して対策することで、失敗やトラブルを回避することが可能なのです。
そこで今回は、転職を考え始めたときから入社直後までの、転職活動の段階別で注意点をまとめました。後悔しないためにも、要点を押さえながら自分自身の思い描く「転職成功」を実現させていきましょう。
1.一時の感情で転職を決めない
転職が思い浮かんだら最初にしていただきたいのは、自分の気持ちにしっかり向き合うことです。
とくにネガティブな気持ちで転職を考え始めたとき、『もうイヤだ!』と一時の感情で転職活動を始めてしまうと、内定をもらって早々に退職することがゴールになってしまいがちです。
そうなると結果的に満足できない転職になる可能性が高くなります。
- 何がイヤなのか
- 何を変えたいのか
- 上司や誰かに相談して改善できないのか
転職したい具体的な理由や今の職場で改善できる方法がないのかを冷静に考えてみましょう。
- 気持ちを思いつくままノートに書き、似たような考えをグループ化する
- マインドマップを使う(ノートやアプリなど)
- トヨタのなぜ方式のように、なぜを繰り返す(転職したいのはなぜ?→○○だから。○○なのはなぜ…のような方法です)
2.いきなり今の仕事を辞めない
転職を考え始めたからといって、後先考えず急に仕事を辞めるのは危険です。
具体的に転職を考え進めていくと、多くのタスクや時間が必要なことがわかってきます。仕事をしながらできるのだろうかと不安に思い、先に会社を辞めようかと考えるかもしれません。
しかしできる限り在職中に転職活動を行うことをおすすめします。その理由は3つあります。
1.金銭面の心配がない
仮に転職活動に3ヶ月かかるとすると、その間の生活費・家賃・面接などの交通費、健康保険料などの費用を貯蓄で賄う必要があります。
収入のためにも早く内定を取らなくては……となっては本末転倒です。金銭的な不安がないのは心強いでしょう。
2.精神的な余裕を持てる
仕事を辞めることで時間的余裕は生まれますが、無職期間が長いと印象が悪くなる、早く仕事を決めないと生活が苦しくなる……と精神的な余裕がなくなってしまうかもしれません。
自分に合う1社がすぐに見つかるとは限りませんので、心の余裕も持ちながら転職活動に臨めるとよいでしょう。
3.選択肢が増える
転職活動をする中で今の会社の良さに気づいたり、職場の環境が変わって自分の問題が解決したりするケースも意外とあるものです。転職をしないという選択肢も持てるのが、在職中のメリットです。
※もしも業務に支障をきたすような心身の状態であったら、休職や通院しながら仕事ができないかすぐに相談してみましょう。
3.自分にとっての「転職成功」設定前に活動しない
転職を決意した後に重要なのは、「自分にとっての転職成功とは何か」を設定することです。
ゴールがあやふやなまま始めてしまうと、途中で悩み立ち止まってしまったり、応募や面接に進んだ後に、もう一度準備からやり直すことにもなりかねませんので要注意です。
「何を変えたいのか」「何を変えたくないのか」など仕事をするうえで重視したいところを具体的に考えてみましょう。
- 給与
- やりがい
- 人間関係
- 労働時間(残業)
- 安定性
- 成長性
- スキルアップ
「転職成功の設定づくり」は、こちらの記事がおすすめ!
【必読】転職を成功させるための方法~転職に成功する人の特徴から学ぶ~
4.転職活動のスケジュールを決める前に始めない
転職活動でのタスク確認や、今から入社までのスケジュールづくりも重要です。
転職成功のゴールが決まっても、道のりが曖昧だと途中で投げ出したくなってしまうかもしれません。どのくらいの期間で、どんなステップを踏みながら進めていくのか事前に把握しておくのがポイントです。
転職活動の平均期間は3ヶ月~半年といわれていますので、自分の状況と照らし合わせて計画を立ててみましょう。
「転職活動のスケジュール作成」は、こちらの記事がおすすめ!
【保存版】あなたの希望通りに転職するためのスケジュールの立て方
5.転職先が決まるまで会社の人に言わない
自分の中で転職のイメージが具体化してくると、ワクワクする気持ちになっているかもしれません。しかし転職を考えていることを、容易に口外しない方がよいでしょう。
というのも、このタイミングで会社に人に伝えるメリットがないからです。
- もしかしたら転職しないと決断をするかもしれない
- 想定よりも転職が決まるまでに時間がかかるかもしれない
- 辞めるなら重要な業務を任せられないと判断されるかもしれない
仲の良い同僚や先輩だとしても、いつどこで話が漏れたり聞かれてしまったりするかわかりませんので、次の会社へ入社が決まるまでは言わないことをおすすめします。
転職についての専門知識があるのはもちろんのこと、身近な人には相談しづらい突っ込んだ内容も相談できるのがメリットです。
6.優先順位を決めずに検索しない
求人を探すときには、「自分が転職成功だと設定したゴールに近づけるのか」という視点を忘れずに求人内容をチェックしていきましょう。
世の中には数多くの求人が掲載されています。
たとえば「千葉市内勤務の正社員」で検索した場合と、「千葉市内勤務の正社員で“転勤なし”」で検索した場合とでは、検索結果の数に大きな差があります。(2021年10月情報)
千葉市勤務×正社員 | 千葉市勤務×正社員×転勤なし | |
---|---|---|
ちばキャリ | 180件 | 101件 |
大手求人サイトA | 450件 | 82件 |
大手求人サイトB | 79件 | 56件 |
通勤時間や休日、会社のビジョンなど、転職成功像で設定した点以外にも何を優先するか決めておくと希望に近い求人が探しやすいでしょう。
- 企業規模:上場の有無、社員数、事業所数など
- 転勤:転勤なし、転居を伴わない転勤あり、転勤あり
- 会社のビジョン:経営理念、ミッション、クレドなど
- 通勤:自宅からの通勤時間、車通勤、公共交通機関の通勤
- 年収:年収、月給、賞与
- 待遇:福利厚生や制度、手当など
- 休日:土日、シフト、年間休日数
- 社風:風通しのよさ、アットホーム、プライベート重視など
- 残業:月平均の残業時間、繁忙期
ちばキャリで検索する場合、「転勤なし」「車通勤OK」「残業少な目」といった検索は「こだわり検索」から調べられます。
転職体験談
7.求人情報をしっかり読み解く前に応募しない
自分の転職成功像に近づくためには、求人情報をしっかり読み解くことがポイントになります。なぜなら企業がどんな人を採用したいのかという情報が詰まっているからなのです。
チェック項目 | 読み取れること |
---|---|
会社のPR情報 | 企業の強み、今後のビジョン、社風や社内の雰囲気 |
求める人物像 | スキルや経験、資格、考え方、仕事への取り組み方 |
仕事内容 | 具体的な仕事内容 <例:営業職> 新規顧客・既存顧客どちらへのアプローチが多いのか 1日の仕事の流れ ひとり立ちまでのステップ |
先輩メッセージ | 在職中の社員視点での会社の特徴、具体的な仕事でのエピソード、やりがい |
給与 | 雇用時の最低限支払われる給与 (経験やポジションでの変動があるため、最低ラインの明示となる) 年収例、前職の給与ベースなどの記載 |
待遇 | 福利厚生や手当、制度 (毎月の手当の有無で給与も違ってくる) |
休日 | 年間休日、シフト制なのか固定休みなのか 休日出勤や代休の有無 (有給休暇の取りやすさをアピールする求人もある) |
掲載情報量が限られている折り込み広告やハローワーク、情報量が少ない求人サイトもあるので、気になる企業があればほかの求人サイトや会社HPで採用募集していないかもチェックしてみるとよいでしょう。
会社の雰囲気が読み取れる求人例
「困っていることはない?」「仕事慣れた?」なんて会話もあったりという会社紹介からも、先輩が気さくに声をかけてくれたり気遣ってくれる様子が伺えます。

業務内容が読み取れる求人例
「飛び込みは一切ナシ」「反響営業がメイン」といった文面から、自ら新規開拓するのではなく、DMやお問い合わせなどお客様からの反響に対して提案する営業スタイルであることがわかります。

先輩メッセージから会社の雰囲気や仕事内容を読み取る
実際に働いている先輩インタビューのある求人は情報の宝庫です。
「やりがいを感じる業務」「その会社に入社を決めたポイント」「1日の仕事の進め方」など参考になるでしょう。
8.応募企業の情報収集・口コミチェックをおろそかにしない
求人サイトで掲載できる情報はスペースに限りがあり、すべての企業情報を掲載することはできません。
また、求人情報はPR広告のため基本的には良いことが書いてあります。
そのため企業HP、口コミサイトなども目を通しておくとよいでしょう。ただ、口コミサイトの情報は真偽がからないもの、コメント時から変化している内容もあるので、複数サイトを確認する・気になる点があれば面接時に質問してみるとよいでしょう。
企業・会社の口コミサイト例
- openwork(運営:オープンワーク株式会社)
- 転職会議(運営:株式会社リブセンス)
- en Lighthouse(運営:エン・ジャパン株式会社)
- indeed(運営:株式会社リクルートホールディングス)
9.やみくもに応募しない
気になる求人がいくつかある場合、片っ端から応募するよりも1社ずつの応募をおすすめします。
連絡対応や面接日程の調整など、複数選考の管理はそれなりに手間がかかります。うっかり別の企業と勘違いしてメールしてしまった、とならないよう1社ずつ丁寧に向き合ってみましょう。
また求人サイトによっては一度で複数求人に応募できる機能もありますが、企業ごとに志望動機や自己PRを変えて応募した方が効果的でもあります。
ただし求人募集は採用が決まったら終了しますし、求人サイト上での掲載期間もあります。求人に優先度をつけたり、掲載終了日もチェックしたりするとよいでしょう。
10.応募企業のニーズを考えずに自己アピールしない
求人応募のチャンスは基本的に1回限りです。Web応募でのミスを面接でリカバリーしようと思っても、面接に進めなければ挽回する機会すらありません。
そのため、企業のニーズに合うアピールが重要になってきます。
マネージャーとして部門をまとめる人物を採用したいのに、未経験で学ぶ意欲をアピールしても企業には響きません。
「7.求人情報をしっかり読み解く前に応募しない」でお伝えしましたが、まずは企業がどんな人を採用したいのか情報を集めましょう。
そのうえで、自己PRでは企業のニーズに合う自分のスキル・人物像・考え方などをアピールすることが効果的な応募になります。
「転職活動の企業に刺さるアピール作成」は、こちらの記事がおすすめ!
転職は学歴では決まらない!企業に刺さる転職成功5つのアピール方法
11.相手が不快になる身だしなみや振る舞いをしない
相手を不快にさせないマナーは、転職活動に限らずどの場面でも役立ちます。
気負う必要はありませんが「転職活動という場面」に適しているかTPOは意識しましょう。
しかし、フランクすぎたり、畏まりすぎたりしないラインは難しいと感じてしまうかもしれませんので、とくに注意しておきたいマナーをご紹介します。
- チェックが甘い(誤字脱字、面接時間を間違えるなど)
- 無断欠席や連絡なしの遅刻
- 電話で名乗らない
- 書類の扱いが雑(折れている、写真が曲がっているなど)
- 会話に適していない言葉遣いをする(タメ口、過剰すぎる敬語など)
- 会話中に視線が合わない
- 会話が一方通行(質問へ回答せず一方的に話すなど)
- 清潔感のない身だしなみ(髪がボサボサ、服がシワシワなど)
- レスポンスが遅い
12.内定条件をしっかり確認する前に承諾しない
最終面接も終わり、企業からの内定が届いた!そんなホッとする瞬間にも注意点が潜んでいます。
企業から提示された内定条件が、入社後の雇用条件となります。
後から話が違うといっても変更されないものと思って、求人情報や面接で聞いた話と違いがないか、しっかり隅々目を通しましょう。
もしも内容が違っていたり、心当たりのない記載があったりしたら、この段階でしっかりと企業へ確認を取りましょう。
- 入社日
- 雇用形態
- 仕事内容
- 勤務地
- 勤務時間
- 残業時間
- 給与
- 試用期間
- 休日
- 待遇
- 特記事項
転職体験談
通勤交通費が支給額の上限を超えてしまうのがネックで相談したところ、全額支給に変更していただけました。
現職の退職がスムーズに進まず、現状の状況・進捗を具体的に相談しながら、入社日を数週間後に変更していただきました。
13.今の会社とケンカ別れしない
内定を承諾したら、いよいよ退職手続きに入ります。辞めるからもう何でもいいや~はご法度です。
もしかしたら、今後現職が顧客になる可能性もありますし、この先どこで関わりがあるかわかりません。立つ鳥跡を濁さず、円満退社で気持ちよく旅立ちましょう。
「円満退職をする秘訣」は、こちらの記事がおすすめ!
【トラブル回避】転職検討~円満退職するための全手法
14.入社までに1日でもブランクがあれば保険手続きを忘れない
会社員なら当たり前に使っている「健康保険証」は退職すると利用できません。年金の手続きも必要です。とくに扶養家族がいる方は、自分だけでなく家族全員に関わることなので要注意です。
もし退職から次の会社へ入社するまでに1日でもブランクがあれば、どのような手続きが必要か確認しておきましょう。
健康保険
退職日の翌日に保険が失効します。
対応方法は3つの選択肢がありますので、加入条件や状況に合わせて選択しましょう。
- 現在の会社の保険を任意継続
- 国民健康保険へ加入(例:千葉市の手続き案内はこちら)
- 家族の加入保険に扶養者として加入
協会けんぽ「退職後の健康保険のご案内」より
厚生年金保険
会社員の場合は第2号被保険者(国民年金+厚生年金)ですが、退職すると第1号被保険者(国民年金のみ)となります。
退職日から14日以内に、現在お住まいの市役所などの窓口で手続きを行います。(例:千葉市の手続き案内はこちら)
住民税
現職で給与から住民税を天引きして納付している場合は手続きが必要です。なお、住民税はその年の1月1日時点で住民票がある市町村に納付しています。
1月から5月に退職する場合
- 最後の給与または退職金から一括で残りの住民税を天引き
6月から12月に退職する場合
2つの方法から選べます。
- 最後の給与または退職金から一括で残りの住民税を天引き
- 「特別徴収」(給与から天引き)から「普通徴収」(自分で納税)への切り替えを会社へ依頼して、市町村から送られてくる住民税の納税通知書で自ら支払う
15.新しい会社の文化やルールを受け入れない
郷に入っては郷に従え
よその土地へ行ったら、その地の風習を尊重し、これに従うがよい。文化の異なるところでは、その文化を尊重することが大切で、むやみに自分たちのやり方を持ち込んではならない。コトバンクより
これまでの経験やスキルなどを評価されて採用となりましたが、会社の文化やルールを無視しては良好なチームワークが築けません。
たとえその会社に問題があっても、頭ごなしに否定しては受け入れてはもらえません。
あなたの入社でさらに良い変化が起きるよう、まずはその会社が培ってきた歴史や積み重ねてきた経験を知り、受け入れ、そのうえで発展させる働きかけをしていきましょう。
16.自らコミュニケーションを取らず受け身でいない
新入社員なので積極的に話しかけてくれる社員の方も多いでしょう。しかし自分から積極的にコミュニケーションを取ることも大切です。
人づきあいの考え方は人それぞれですので、プライベートでの交流は必要不可欠ではありません。ですが俗にいう風通しの良い職場、つまり意見を交わしやすい、臆せず質問ができるような関係づくりはよりよいサービスを生み出すために大切ではないでしょうか。
会社によってコミュニケーションの取り方も様々ですが、休憩時の雑談に混ざってみたり、ときどきランチを共にしてみたり、ちょっとした話す時間を取ってみるとよいでしょう。人づきあいが苦手なら、すれ違う人に自分から挨拶するところから始めてみましょう。
まとめ
『転職活動に失敗したくない……』これは転職希望者の共通の想いです。そんな心配や不安が解消できるよう、転職を思い浮かべたときから入社後までの、転職の注意点を取り上げました。
- 一時の感情で転職を決めない
- いきなり今の仕事を辞めない
- 自分にとっての「転職成功」設定前に活動しない
- 転職活動のスケジュールを決める前に始めない
- 転職先が決まるまで会社の人に言わない
- 優先順位を決めずに検索しない
- 求人情報をしっかり読み解く前に応募しない
- 応募企業の情報収集・口コミチェックをおろそかにしない
- やみくもに応募しない
- 応募企業のニーズを考えずに自己アピールしない
- 相手が不快になる身だしなみや振る舞いをしない
- 内定条件をしっかり確認する前に承諾しない
- 今の会社とケンカ別れしない
- 入社までに1日でもブランクがあれば保険手続きを忘れない
- 新しい会社の文化やルールを受け入れない
- 自らコミュニケーションを取らず受け身でいない
転職の成功イメージを明確に持ち、周囲の人への配慮を忘れない。転職を成功させるための注意点を押さえて、希望を叶えるための転職活動に臨んでいただければと思います。