昇給なしって違法なの?昇給制度がない理由と対処法

「今年も昇給なしか、がんばったのになー」
「何年も昇給ないけど違法じゃないの?」

このように昇給なしが続いて、先行き不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、昇給なしの理由や、そもそもの昇給の制度について、また昇給がないときの対処法についてご紹介します。

在職中の企業が昇給なしで不安な方や、気になる企業で昇給制度がなく心配な方は、理由と対処法をお伝えしますので最後までご覧ください。

1.昇給なしは必ずしも違法ではない

就業規則

昇給なしっていいの?大丈夫?と疑問に思うことはないでしょうか。
実は就業規則に則っていれば、昇給がないことは違法ではありません

就業規則の必須記載項目の一つに「昇給」があります。(※平成30年 厚生労働省「モデル就業規則」より)
昇給については何らかの記載が必須ですが、記載する昇給の内容について決まりはありません。

そのため「昇給なし」という記載でも問題はなく、「年2回の昇給 ※業績により変更あり」というような内容でもよいのです。

その一方で「毎年10月に○円の昇給あり」と就業規則に書かれており、業績や成績・売上による例外事由が書かれていないのに昇給されない場合は、規則が守られていない状態と言えるのです。

そのため、在職企業で昇給なしの場合は、就業規則の昇給の項目に何と記載されているか実態を確認しましょう。

1-1.昇給の制度なし企業は17%

一般職(部長・課長など役職者を除く一般社員)が勤務する企業の16.9%が昇給制度なしという調査結果があります。
昇給制度そのものが17%ないのは、多い?少ない?どのように感じるでしょうか。

厚生労働省/令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査より

また企業規模別ですと、5,000人以上が13.8%1,000~4,999人が10.8%300~999人が14.2%100~299人が18.4%、昇給制度がありません。

企業規模定昇制度なし
全体16.9%
5,000人以上13.8%
1,000~4,999人10.8%
300~999人14.2%
100~299人18.4%

5,000人以上の大企業も「13%の企業が昇給制度なし」という結果で、大手企業だから制度が導入されているとは一概に言えないこともわかりました。

一般職の定昇制度の有無をみると、「定昇制度あり」の企業割合は81.6%(同82.5%)、「定昇制 度なし」は16.9%(同16.1%)となっている。「定昇制度あり」の定昇の実施状況をみると、「行った・行う」は74.6%(同75.5%)、「行わなかった・行わない」は6.4%(同5.9%)となっている。

(厚生労働省/「令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 」7ページより)

そして令和3年においては、昇給制度のある81.6%のうち、6.4%が昇給を行わない・行わなかったと回答しています。

制度はあるものの、業績など何らかの理由で支給なしとなるケースもあることがわかります。今回昇給がなかった方も、業績状況で今回はなかったという可能性もあるでしょう。

1-2.そもそも昇給とは何か

昇給とは勤続年数で自動的に、また能力・業績評価に基づいて基本給が上がることを指します。

厚生労働省の資料では以下のような定義がなされています。

◆ 定期昇給(定昇)
あらかじめ労働協約、就業規則等で定められた制度に従って行われる昇給のことで、一定の時期に毎年増額することをいう。年齢、勤続年数による自動昇給のほかに、能力、業績評価に基づく昇給があり、毎年時期を定めて査定を行っている場合も含む

(厚生労働省/「令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 」2ページより)

成果や業績の評価が給与アップにつながり、社員のモチベーションアップ成長促進につながる制度となっています。

また勤続年数や年齢による自動昇給がある場合は、給与アップのめどが立ち、結婚・子育て・マイホーム購入などのライフプランの変化も視野に入れやすくなります。

しかし最近では、年齢・社歴=企業への貢献なのか?
という疑問も持たれ、成果や業績を重視する意向が高まっているため、年功序列のような自動昇給がなくなっているケースも見受けられます。

また、昇給制度がないことが、社員のモチベーションアップ・成長促進を考えていないとは一概には言えません。なぜなら2章でご紹介するように、他の制度で評価する仕組みを構築している企業もあるからです。

一方で、昇給の必要性を感じていなかったり、昇給よりもビジネスの成長度や苦しい状況下での業績維持を優先させたいと思っている企業もあります。

どのような理由で昇給なしなのか、理由や背景などを2章で確認していきましょう。

ベースアップは昇給と違う?
ベースアップ(ベア):「全社員」の基本給を、業績などに応じて一律で引き上げること
 
昇給:「社員個人」の基本給を、勤続年数・業績評価などに応じて上げること
 
ベースアップは一律で基本給が引き上がるので、1%アップが決まれば、
基本給20万円の社員… 基本給20万2,000円
基本給25万円の社員… 基本給25万2,500円
と、個人の評価に関わらず給与が上がります。

2. 昇給なしの4つの理由

昇給なしはなぜ

会社に制度自体がない

1章の調査結果のとおり、約2割の企業で制度がありません。

しかし昇給制度の導入は年々増えているので、もしかしたら今後自社の制度が変わる可能性があるかもしれません。

しかし昇給を望むのならば、会社の制度が変わるのを待つよりも、何らかの対処をすることをおすすめします。詳しくは3章でお伝えします。

一般職の昇給制度なしの推移
2021年/令和3年 16.9%
2016年/平成28年 16.1%
2011年/平成23年 21.8
2006年/平成18年 27.3%
(厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」より) 
 
15年前は約3割の企業が昇給制度なしでしたが、年々制度を導入する企業が増えていることが表れています。

他の制度で業績評価を還元している

基本給がアップする昇給ではなく、他の制度や手当で還元されているケースもあります。

たとえばインセンティブは成果に対して○%であったり、○件契約に対して○円といった決まりで、月給または半月に1回など報酬を得ることができます。

また賞与の月数を多く設定して業績を還元している企業もあるでしょう。

企業規模・産業で賞与の平均月数が変わってきますので、自分の場合はどうだろう?と思った方は次の記事をご覧ください。

自分の頑張りや業績好調な場合に給与に反映される仕組みがないか、確認してみましょう。

賞与の月数の記事なら、こちらの記事がおすすめ!
【規模・産業別】賞与の平均月数とは?収入アップなら年収に注目

業績が伸びていない

そもそも会社の業績が伸びていないなら、昇給をさせることが難しい状況です。
制度があっても昇給で経営悪化となっては本末転倒です。

仮に社員100名の会社で、ひとり1,000円昇給するとなると、
100(名)×1,000(円)×12(ヶ月)、年間120万円の人件費アップとなります。

昇給や賞与は業績による変動がしやすいので、自社の経営・業績状況を確認しておきましょう。

昇給制度はあるが評価されていない

昇給制度はあるのに、自分は昇給されていないなら、あなたの業務が評価されていない可能性もあります。

昇給される基準を確認し、条件に満たない場合は基準を超える取り組みを目指しましょう。

もしも基準を満たしているのに昇給されていない場合は、業績による変動などの特例だからなのか、とくに理由がないのに昇給されていないのか、どんな理由で昇給されないのかしっかり確認しておきましょう。

3. 昇給なしの場合の対処法

転職を判断する3つの基準

制度として昇給自体がなかったり、昇給制度はあるものの数年昇給がされていない場合など、このまま収入が上がらないのでは?
と先行きが不安に感じられるかもしれません。

そこで収入を上げるためにどのような対策ができるか、対処法を3つご紹介します。

転職する

身も蓋もありませんが、根本的な対処法は転職です。
制度が整っている会社で成果を上げて収入を上げる、自分の頑張りが目に見えて評価され、収入が上がるのはモチベーションアップにもつながります。

昇給で基本給が上がっていくと、賞与の○ヶ月分の基本的な土台も上がるので年収アップも実現しやすいでしょう。

社内制度・手当をフル活用する

2章の賞与なしの4つの理由で述べた「他の制度で業績評価を還元している」場合は、手当や制度をフル活用することで、昇給に変わる収入になる可能性があります。

  • 成果や売上に対するインセンティブがある
  • 指定資格を取得することで毎月○円支給という手当がある

自分の成果やスキルアップが給与に反映される仕組みがあれば、大いに活用しましょう。

副業する

今の会社は好きだけど、毎年給与が変わらないのはいやだ!
という方は、副業で収入ルートを増やす方法もあります。

しかし副業禁止や、副業OKだけどルールありの場合もあるので、社内規定はしっかり確認しましょう。

また本業に影響が出ないことも前提なので、どんな仕事をどのくらいの時間やるのかなど、計画も大事になるでしょう。

昇給について会社に聞いてみた?
  • 昇給の制度があるのに給与が上がらない
  • 昇給の制度自体がない

そんな場合は、まず上司や人事に聞いてみましょう。
とはいえ、給与や金銭に関わることが聞きづらいですよね。

でも大事なことですので、こんな風に聞いてみるのはいかがでしょうか。

  • 自分の頑張りが足らないかもしれないけど、どこまで成果が出せたら給与アップになるのか?
  • この会社で頑張りたいんだけど、昇給の仕組みがないのってなんでだろうか?

会社や仕事が好きなのに、いい会社なのに、なんで?
というポジティブな問いや質問をしてみることをおすすめします。

実は知らなかった会社の考えや、見えていなかった今の会社の状況を知ることもできるかもしれませんね。

4.まとめ

実は「昇給なし」自体は違法ではなく昇給の制度がない企業は約17%あるということがわかりました。

うちの会社の昇給ってどんな仕組み?と疑問に思われた方は、まずは就業規則の昇給項目を確認しましょう

そのうえで、昇給の制度がないとわかったら、

  • 手当や賞与など、他の方法で収入アップができる方法があるか確認
  • そもそもなんで昇給の仕組みがないのか、上司や人事にポジティブに質問
  • 会社の業績など現状を把握

    しておくとよいでしょう。

    昇給は収入アップにつながり、モチベーションアップにもなる制度のひとつです。

    制度がないことによって今後の収入面で不安を感じられたら、転職して成果・評価が目に見える環境で頑張るという方法も検討してみましょう。

     

     

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