
転職活動において自分に適した求人を探したいと思うのは当然のことです。
しかし、自分に適した求人を探すには具体的にどうしたらよいのだろう?と悩まれている方は多いことと思います。
特殊な専門職や技術職でなければ、希望条件に沿って求人を検索した結果、対象となる求人が何十件、何百件と出てきて迷ってしまうという経験をされている方も多いのではないでしょうか。
その中からどうやって、自分に適した求人を探し出すのか。そんな求人の探し方のコツを知りたいものですよね。
この記事では、私が考える自分に適した求人の探し方のコツについて解説します。
記事を参考にしていただきながら、ご自身に適した求人を見つけていただければと思います。
1.自分に適した求人を探すための3つの手順
私が考える自分に適した求人の探し方のコツは、ずばり、次の3つの手順を踏むことです。
なぜなら、自分に適した求人をうまく探せないときの問題点は、たいてい次の2つに集約されるからです。
・自分に適した求人の定義ができていない
・初めから求人を絞りすぎている
例えば、求人検索をしている中でどの求人が自分により適しているのか相対評価ができなくなったり、希望条件を全部網羅しようとしたら該当求人がほとんどなくなってしまったりすることがあるのではないでしょうか。
そんな状態を避けるために、自分に適した求人を定義し、該当しそうな求人を幅広くピックアップし、少しずつ絞り込んでいくという手順が有効なのです。
この記事ではこの3つの手順について詳しく解説します。
【手順1】転職の軸を定める
前述しましたが、そもそも、自分に適した求人を探すためには、具体的な方法論の前に、「自分に適した求人」を定義しなければなりません。
「自分に適した求人」を定義する際に、どのような軸で求人を探すのかという方向性、いわゆる転職の軸を定めることが必要となります。
なぜなら、転職の軸がしっかりと定まっていなければ、検索をしていく中で、判断がぶれてしまいますし、絞り込んでいく段階で優先順位がつけられなくなってしまうからです。
例えば、
といった経験はないでしょうか。
転職の軸とは、「仕事や転職先を選ぶときに重視するポイント」、いわゆる転職の目的のことです。
この2つの事例においては、前者はせっかく定めた転職の軸を見失ったケース、後者は、漠然とした理由で転職の軸が弱かったケースということになります。
転職の軸を定めるというのは、「転職して実現したいことは何か?」「どんな自分になりたいか?」という問いへの答えを見つけることですね。
では、どうやってその問いへの答えを見つけるか。ここからはその方法について解説します。
転職の軸を定める方法
転職の軸を定めるには、次の2つの順番で行う方法が有効です。
それぞれについて詳しく解説します。
①退職理由を深堀りする
まず、「なぜ今の仕事を辞めたいと思ったのか?」、「そう思ったきっかけは何なのか?」自分の退職理由を具体的に振り返ってみましょう。
そして、さらにそう思った真の理由を探るのです。
このことを私は、深掘りすると表現しています。
退職理由は多くの場合、現状への不満からきていることが多いですが、ここで重要なのは、退職理由を不満の状態で終わらせず、その不満を抱いた真の理由を見つけることです。
なぜなら、不満は現状が期待を満たさなかった結果でしかないからです。
不満の裏側にあった何かしらの期待に気づかなければ不満の解消はできません。
例えば、
いわゆる現状への不満ですね。
これらをそのまま転職理由としてとらえるのではなく、これらの不満の裏側にあった期待に目を向けることが重要です。
もう少し具体的に図表化すると以下のようになります。
不満 | 人間関係が良くなかった | 頑張りが給与に反映される環境ではなかった | 残業が多かった |
期待 | 職場でよい人間関係を構築したかった | 頑張りを評価してほしかった | 気持ちよく仕事をしたかった |
期待が裏切られたと 感じた理由 | ・社内コミュニケーションを活発にする風土がなかった ・業務外の交流が全くなかった ・個人ごとの成果主義の文化が強かった | ・しっかりした評価制度がなかった ・1on1など上司と評価に関する話し合いをする風土がなかった ・給与体系がオープンになっていなかった | ・強制的な拘束時間が長かった ・やらされ感のある仕事が多かった ・クリエイティブな仕事、主体的な仕事に時間を割きたかった |
人間関係が良くなかったという不安の裏には、職場でよい人間関係を構築したかったという期待があったわけで、「実際はどんな人間関係を求めていたのか?」を考えることが深堀りです。
頑張りが給与に反映される環境ではなかったという裏には、頑張りを評価してほしいという期待があったのだと思います。
その期待が裏切られたと感じた理由は、評価の仕組みがなかったことなのか?または、上司と評価に関する話し合いができるような風土がなかったことなのか?を考える。
また、残業が多かったという不満に関しても、残業がある環境でどんな期待を抱いていたのかを想像し、残業することの何が嫌だったのかと向き合うことが深掘りです。
ひょっとしたら、残業が多かったことそのものよりも、やらされ仕事が多く、提案したりクリエイティブな仕事ができる環境になかったことが嫌だったということに気づくかもしれません。
このように退職理由を深堀りして、自分が仕事や職場に期待していることに気づくことが転職の軸を定めるためのファーストステップです。
②転職の目的を明確にする
転職の軸を定めるための方法として、2つ目のステップは、転職の目的を明確にすることです。
①で退職理由を深堀りすることで、退職理由の裏側にあった自分が大事にしたかったこと、期待したかったことが浮き彫りになったはずです。
転職の目的を明確にするというのは、転職することによって、その満たしたい期待を明確にする、言語化するということにほかなりません。
なぜなら、期待を満たすことができたら、前職で生じたような退職に通じる不満は生まれないからです。
例えば、転職の目的を明確にするプロセスは次のようになります。
↓
上司と自分の実績や評価に関する話ができないことが残念だった(退職の本当の理由)
↓
上司と評価に関して率直に話合いができる環境で働きたい(期待)
↓
1on1など、上司との業務上のコミュニケーションが活発な環境の会社で自分の力を試したい(転職の目的)
期待を目的に昇華させることで、自然と発想もポジティブになるものです。
ポジティブに転職理由を考えることができれば、さらに転職後にやりたいことやなりたい自分への想像力も高まるのではないでしょうか。
転職の目的を明確にすることが、転職の軸を定めるためのセカンドステップです。
【手順2】幅広く求人をピックアップする
1つ目の手順で、転職の軸が定まりました。
求人を検索する最初の段階では、転職の軸をベースに、「幅広く求人をピックアップする」ことが重要です。
なぜなら、最初に求人を絞り込んでしまうと、自分の可能性を狭めてしまう可能性があるからです。
例えば、
・労働条件で対象から外したが、実は、評価によって待遇面の改善余地があることを知らなかった
ということが生じかねません。
ですので、まずは転職の軸に沿って、幅広く求人をピックアップすることをお勧めします。
ここからはその方法について解説します。
幅広く求人をピックアップする方法
幅広く求人をピックアップするには、次の3つの順番で行う方法が有効です。
②重視する条件の優先順位を決める
③優先順位の高く絶対避けたい条件をクリアしている求人ピックアップする
この3つのステップについて詳しく解説します。
①重視する条件・絶対避けたい条件を決める
なぜなら、これらが求人を絞り込むための最低条件となるからです。
転職の軸に沿って求人をピックアップする中で、どんな条件を重視したいか、また、絶対に避けたい条件は何かを定めます。
②重視する条件の優先順位を決める
なぜなら、労働条件が良くても転職する理由が解消されていなかったり、あなたの強みを活かせる仕事でなかったりすると、転職後に「こんなはずじゃなかった」といったミスマッチが生じる可能性が高くなるためです。
③優先順位の高い条件と絶対避けたい条件をクリアしている求人ピックアップする
この時、検索結果で出てくる数に応じて優先順位の高い条件をどこまで踏まえるかを決めると良いでしょう。
なぜなら、この段階で多すぎると次のステップの絞り込むのが大変ですし、少なすぎるとチャンスを狭めている可能性があるからです。
できれば、この段階で数十件に絞れていると良いですね。
具体的な求人のピックアップの方法としては、大きく2つあります。
・転職サイトなどの求人メディアを使う方法
・転職エージェントを使う方法
転職サイトを使うのであれば、お気に入り機能を使うと便利かもしれませんし、転職エージェントを使うのであれば、ピックアップした求人を候補群としてCAに共有すると良いかもしれませんね。
ここまでが、転職の軸はぶらさず、幅広く求人をピックアップするための手順です。
【手順3】自分に適した求人を絞り込む
手順1と手順2で候補となる求人を幅広くピックアップできていますから、あとは、具体的に絞り込むだけです。
ここからは、自分に適した求人を絞り込むための方法を解説します。
自分に適した求人を絞り込む方法
②評価の高い求人を選出する
それぞれについて詳しく解説します。
①ピックアップした求人を再評価する
なぜなら、どんな求人にも一長一短があるからです。
求人を再評価してどの求人が自分にとってより適しているかを判断しなければなりません。
再評価をするにあたっては、3~5個程度のの評価項目を設定すると良いでしょう。それらの項目ごとに各求人を評価して、メリットやデメリットを改めて確認するのです。
例えば、
・評価への柔軟性
・仕事のやりがい
・給与
などが評価項目の候補として挙げられます。
手順2で転職の目的を達成することを前提に、希望条件を満たしている求人をピックアップしたはずですが、転職の目的を達成できる可能性が高い求人と希望条件とのマッチ度が高い求人のどちらが自分に適しているのかを判断しなければなりませんから、求人を相対比較するための評価項目の設定が重要になるのです。
再評価にあたっては、各項目ごとに5点満点で評価し、合計点を出すといった方法も有効です。条件にそれほど差がないのであれば、経営理念への共感や部門の年齢構成など、あらたに比較したい評価項目が見つかるかもしれません。
いずれにしても、ピックアップした求人を再評価することが、自分に適した求人を探すための重要なステップとなります。
②評価の高い求人を選出する
これが最後のステップとなります。
①で再評価した求人の中で、評価の高い求人を選出します。
ここで選出された求人が自分に適した求人である可能性が高いでしょう。
後は、選出した求人に実際に応募し、事前に評価した内容と選考を通じて感じた内容がマッチしているかどうかを判断し、転職先として検討することとなります。
2.まとめ
この記事では、自分に適した求人の探し方として3つの手順を踏むことが大事であることをお伝えしました。
自分に適した求人を探すのはなかなか難しいことです。
手順1の転職の軸が定まっていなければ、手順2、手順3を行う過程で迷いが生じてしまいます。そんな時は、改めて手順1に戻ることが重要です。
しっかりと転職の軸を定めた上で、ご自身に適した求人を見つけてください。