
転職を検討するにあたって転職エージェントを利用したいのだけど、転職エージェントの仕組みが良く分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「具体的に何をしてくれるのだろうか?」
「自分で直接応募するのと何が違うのだろうか?」
転職エージェントの仕組みがわかっていないと、利用のイメージがつきませんし、利用するべきかどうかの判断も難しいと思います。
そこで、この記事では、主に転職エージェントを初めて使う方向けに、転職エージェントの仕組みについて丁寧に解説します。
よくある5つの質問に沿って解説しますので、転職エージェントの仕組みの理解に役立つと思います。
ぜひ、記事を読んでいただき、転職エージェントの利用をご検討ください。
1.転職エージェントの仕組み
転職エージェントの仕組みについて、よくある5つの質問に沿って解説します。
①「転職エージェント」「企業」「求職者」3者の関係性は?
転職エージェントの仕組みを理解するには、「転職エージェント」、「企業」、「求職者」それぞれの立ち位置について理解することが大事です。
3者の立ち位置は下図のようになります。
「企業」→「転職エージェント」
採用を検討している企業が転職エージェントに求人を依頼します。
「企業」←「転職エージェント」
転職エージェントは企業に対して人材を紹介します。
紹介後は面接の調整や求職者の反応のフィードバックなど、採用までサポートを行います。
「求職者」→「転職エージェント」
転職を希望している求職者が転職エージェントに転職の相談を行います。
「求職者」←「転職エージェント」
転職エージェントは求職者に対して、キャリアカウンセリングを実施し、希望にマッチした求人を紹介します。
紹介後は、面接の調整や企業の反応のフィードバックなど、内定・入社までサポートを行います。
上記のように、転職エージェントが、企業と求職者の間に入り、両者のマッチングをするためのサポートを行います。
基本的に、内定を獲得するまで、求職者と企業が直接連絡を取ることはありません。面接日程の調整はもちろん、合否連絡についても、転職エージェントを通じてなされます。求職者にとっては、企業と直接連絡を取れない歯がゆさがあるものの、転職エージェントから客観的なアドバイスを受けられたり、聞きにくい質問や直接的に得にくい評価などを確認するできるメリットがあります。
転職エージェントを利用するメリットについて詳しく知りたい方は、別記事(転職サイトと転職エージェントの違い)で詳しく解説していますので、参考にしてください。
②RAとは?CAとは?
①でご説明したように転職エージェントには対企業と対求職者と2つの役割を担っています。この2つの役割を担う担当者のことをそれぞれRAとCAと呼びます。
CA(キャリアアドバイザー) :転職エージェントにおける対求職者の窓口
それぞれの役割について詳細を解説します。
RA(リクルーティングアドバイザー)
転職エージェントは企業から求人の依頼を受けて、人材を紹介すると説明しましたが、マッチングさせるためには、まずは求人の内容をしっかり理解することが必要です。この役割を担うのがRAです。
企業の採用担当者に具体的な仕事内容や求める人物要件をヒアリングし、社風や会社の価値観なども含めて求人の詳細を理解し、その企業で活躍できる人物像を明確に把握するのがRAの役割です。
その上で、求職者にわかりやすく伝えるための求人票を作成を行い、CAと連携して候補者を募り、企業に紹介します。
RAは数多くの企業を担当し、ヒアリングを重ねていますから、求人理解のプロフェッショナルです。様々な業界に詳しいRAもいますし、業界や職種に特化した専門的なRAもいます。
優秀なRAほど、求人票には現れにくい求人の特徴を把握しています。
CA(キャリアアドバイザー)
転職エージェントは求職者から転職相談を受けて、求人を紹介すると説明しましたが、マッチングさせるためには、求職者についてしっかり理解することが必要です。この役割を担うのがCAです。
求職者と面談し、その求職者の職務経歴やライフスタイル、キャリアビジョンをヒアリング(※)し、ビジネススキルやポテンシャル、仕事観、希望条件などを理解し、ベストマッチだと考えられる求人の特徴を明確に把握するのがCAの役割です。
その上で、該当求人を求職者に紹介し、企業にうまくアピールするための書類作成や面接対策のアドバイスを行い、選考をサポートします。
(※)質の高い転職エージェントでは単なるヒアリングでなく、キャリアカウンセリングが実施されます。詳細は次章で解説します。
両者のヒアリング後、マッチングまでの転職エージェント内での具体的な業務の流れとしては、以下の図のようになります。
②求職者がCAに応募を希望するか返答する
③応募を希望するならRAが企業に書類を提出し選考に進める
④企業がRAに選考結果を通知
⑤内定を獲得したらCAが求職者に内定条件を伝える
⑥求職者が内定を承諾するか返答をする
⑦内定を承諾するなら入社手続き、承諾しなければ選考終了
大手の転職エージェントでは、RAとCAが独立しているケースが多いですが、中小の転職エージェントでは1人の担当者がRAとCAを兼任し、一気通貫でマッチングを行っているケースが多く見受けられます。
いずれにしてもRAとCAの間で密で丁寧な情報交換を行っている転職エージェントが使いやすいですね。
③キャリアカウンセリングとは?
転職エージェントは求職者に対して、キャリアカウンセリングを実施し、希望にマッチした求人を紹介すると説明しました。これはCAの役割となりますが、キャリアカウンセリングでは具体的にどんなことがなされるのかを解説します。
カウンセリングというと敷居が高いように感じるかもしれませんが、キャリアカウンセリングとは、その個人にとって望ましい職業選択やキャリア開発を支援するプロセスのことで、堅苦しく考える必要はありません。なぜ、キャリアカウンセリングと呼ぶかというと、単なるヒアリング以上の価値があるからです。
単なるヒアリングであれば、職務経歴や希望条件等の確認にとどまりますが、キャリアカウンセリングでは、質問を通じて、自己の理解を深めたり、不安を解消する手助けをすることが可能です。
転職を検討するにあたっては、
・自分にはどんな仕事が向いているのかわからない
・転職にあたって、何から始めればよいかわからない
・履歴書や職務経歴書の書き方がよくわからない
・希望を実現するために必要なスキルやアピールポイントがよくわからない
など、具体的な求人を探すより前の段階で様々な悩みや不安を抱えているものと思います。これらを対話によって解消していくのがキャリアカウンセリングの価値です。
キャリアカウンセリングを受けることによって、自分の本当の退職理由や強み・弱みに気づいたり、転職の軸が明確になったり、キャリアビジョンが明確になる、ということは少なくありません。
優秀なCAは直接アドバイスをするのではなく、自分自身を理解するための有効な質問をすることで自分で自分の本心に気づくサポートを行ってくれます。
もちろん、1回のカウンセリングで得られる効果には限りがありますが、なにかしらヒントを得られる可能性はあると思います。キャリアカウンセリングを通じて、自分にはどんな適性があるのか、伸ばすべきスキルは何か、どのような仕事が向いているのかなどについて、しっかりと把握できるとよいですね。
④求職者が無料で利用できる理由とは?
転職エージェントでは、CAがキャリアカウンセリングを行ってくれたり、応募から入社までのサポートをしてくれると説明しました。
なぜ、これらの手厚いサポートが無料で受けられるのか不思議に思う方もいるかもしれませんし、紹介された求人への応募を断っていいのだろうか?と不安に思う方もいれません。
ご安心ください。転職エージェントが求職者に無料でサービスを提供しているのにはしっかりとした理由があります。
それは、企業から報酬を得ているからです。
企業からの報酬をもとに求職者に無料でサービスを提供しているのです。正確には、企業からの報酬を得るために求職者に無料でサービスを提供しているとも言えます。
転職エージェントが企業から報酬を受け取るタイミングは、企業へ人材を紹介し、採用に至った際です。ですので、転職エージェントにとっては、求職者にとって転職が成功することが実績(売上)につながるのです。
そうすると転職エージェントは強引に応募や内定承諾を勧めてくるのではないかと不安に思うかもしれませんが、一般的にそんなことはありません。なぜなら、多くの場合、3か月以内に退職した場合は、売上の一部を返金する規定が定められているからです。
強引なマッチングを行って早期離職が生じると、結局のところ売上が減少することに繋がりますし、は企業の信頼を失うことにもなります。ですので、転職エージェントは早期離職が生じないように慎重にマッチングを行うことを意識しているのです。
この成功報酬は一般的に採用者の年収の30~35%で設定されていることが多く、1人の採用をしっかりサポートできれば、収益が確保できるため、企業は無料で転職サポートを行っているのです。
ちなみに、企業にとっても、採用が決まるまでコストが掛からないなど、転職エージェントを利用するメリットがあります。企業側のメリットについて詳しく知りたい方は、別記事(転職エージェントを利用する企業側のメリットとは)で解説していますので、参考にしてください。
⑤転職エージェントの種類は?
これまで、転職エージェントと一括りで説明していますが、転職エージェントにもいくつかの種類があり、それぞれ強みが異なります。ここでは一般的な3つの種類について解説します。
②専門特化型エージェント
③地域特化型エージェント
④サーチ型エージェント
これらの種類に関しては、別記事(転職を成功させるための転職エージェントの賢い使い方)で解説していますので、そちらを引用します。
1.総合型エージェント
総合型エージェントは、幅広い業界や業種をカバーした転職エージェントで、リクルートやパーソル、JACなどの大手転職エージェントが代表格です。スケールメリットを活かして、大手企業や有名企業、有力スタートアップ企業などの求人を多く取り扱い、求人数も圧倒的に多いという特徴があります。多くの企業から求人の依頼を受けているため、非公開求人も多く取り扱っています。2.専門特化型エージェント
専門特化型エージェントは、専門分野の業種や職種、地域に特化した転職エージェントです。たとえば、「ITエンジニア」、「自動車業界」、「管理部門」、「第二新卒」のように特定の分野や「千葉県」などの地域に特化しています。領域を絞り込んでいるため総合型エージェントほど求人数は多くありませんが、その業界出身のCAも多く、細かいアドバイスや精度の高いマッチングに期待できます。収入の高いハイクラス求人や、経営幹部向けの求人案件などを保有している会社もあります。
3.サーチ型エージェント
サーチ型エージェントは、企業から受けた求人に対して最適な人材を探し、紹介する転職エージェントです。ヘッドハンティングやエグゼクティブサーチと呼ばれることもあります。エグゼクティブと呼ばれる経営陣クラスや管理職、専門分野に特化したスペシャリストの求人が多く、秘密性の高い求人案件が多いため、多くの案件が非公開になっています。経歴やスキルに自信のある方が登録し、転職エージェントからのスカウトを待つ形での利用が多くなります。
先述したとおり、企業は採用した段階で成功報酬を支払うわけですが、年収の30~35%という報酬は中小企業の採用予算としては高額となるため、地元の中小企業の求人案件は、総合型エージェントにはまだまだ少ないというのがその背景です。
千葉というエリアに特化して転職を検討するのであれば、エリアや職種に特化したエージェント経由で探す方が希望の求人を見つけられる可能性は高まるかもしれません。
2.まとめ
この記事では、転職エージェントの仕組みについて、よくある5つの質問に沿って解説しました。
②RAとは?CAとは?
③キャリアカウンセリングとは?
④求職者が無料で利用できる理由とは?
⑤転職エージェントの種類は?
転職エージェントの基本的な仕組みはよくご理解いただけたのではないでしょうか?
仕組みを理解した上で、さらにメリットやデメリット、転職サイトを利用する場合との違いなども把握し、ご自身が転職活動するにあたって転職エージェントを利用するかどうか検討いただければと思います。
転職エージェントに関する別記事を以下にご紹介しておきますので、合わせてお読みいただければより理解が深まると思います。
・転職サイトと転職エージェントの違い
・転職エージェントのメリット・デメリット|フル活用する3つのコツ
・転職エージェントとは|理想のキャリア構築のためのパートナーシップ
・これを抑えればOK!優秀な転職エージェントの7つの特徴と探し方