中小企業に向いている人とは ~大手企業と働き方や仕事観を比較~

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転職先を検討するにあたって、その企業が大手企業なのか、中小企業なのかで迷うことはありませんか?

もちろん、規模の違いがすべてではありませんし、企業ごとに大きな差があるわけですが、大手企業と中小企業では、仕事の担当範囲や求められるスキル、資質などが異なると感じるのも事実です。

弊社では、千葉県に特化して主に社員数100人以下の中小企業の採用支援を行っていますので、特にそのことを実感します。

そこで、この記事では、弊社がこれまでの採用支援事業を通じて感じている「中小企業に向いている人」について、大手企業と中小企業の仕組みや環境の違いなどを軸に解説します。


参考までに、中小企業庁による中小企業の定義は以下となります。

large-and-small-businesses-1【出典】:中小企業庁HP:中小企業者の定義

1.中小企業に向いている人の4つの特徴とその理由

ここでは、中小企業に向いている人の特徴として大きく4つの項目を取り上げます。それぞれについて、企業規模による仕組みや環境の違いを軸に理由も解説します。

①早く成長したい人

中小企業に向いている人の特徴の1つ目は早く成長したい人です。

なぜなら、中小企業では、以下の表のように成長スピードに関わる環境の違いから、大手企業と比べて入社後の早い段階から現場で揉まれるケースが多いからです。

※大手企業と中小企業における成長スピードに関わる環境の違い

項目大手企業中小企業
入社後の新人研修座学で何日間か入社時研修が行われることが多い。新卒であれば、1~2週間の長期で行われることも珍しくない。座学研修は極めて短いことが多く、先輩との同行やOJTによる現場指導が教育の中心となる。
社員教育年間予算やスケジュールが決まっていて、定期的なOFF-JT研修が行われる。人事部で研修内容を企画するなど内製化されていることが多い。経営トップの考え方次第で大きく取り組みが異なる。教育予算が全くない会社も少なくない。研修は外部委託したり、オープン型研修を活用することが多い。
例えば、

・先輩との同行期間は1週間しかなく、その後は1人で訪問することになった。
・先輩に質問したところ、仕組みがないから自分で考えるように指示された。
・入社数年目なのに、同業他社の役職者が集まる会合に社員代表として出席することになった。

など、中小企業では、早い段階で仕事を任されたり、仕組みを考えたりする機会が多いものです。背景としては、一般的に大手企業と比べて教育環境が整っていない側面があるということもあります。

これは働く社員にとっては、デメリットでもあり、メリットでもあります。なぜなら、早く成長したいと思っている人にとっては、実践で学ぶチャンスはとても貴重だからです。

また、変化のスピードが早いのも中小企業の特徴です。環境の変化に合わせてトップダウンで業務の優先順位ややり方が変わります。その変化のスピードに対応することで成長スピードも早くなります。

これらの点から、早く成長したい人は中小企業に向いていると言えるでしょう。

【本当の意味での成長のポイントを理解する】
すぐに現場に出される中小企業の方が早く成長できるという側面があるのは事実ですが、長期的な成長を考えると注意しておかなければいけない点があります。それはOJTだけでは、本当の意味での仕事力はなかなかつかないということです。

仕事ができるというのは、成果を出す方法を論理的に説明できて、その成功体験を再現できるようになっている状態のことです。この状態になっていないと、マネジメントや部下指導もできません。

この仕事ができる状態のことを、「自覚・有能」と呼びます。
初めて仕事をする際は、「無自覚・無能」の状態ですが、この「自覚・有能」の状態に進むには、「無自覚・有能」を通るか、「自覚・無能」を通るか、2つの道があります。

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「無自覚・有能」は、成果の出し方をしっかりと理解していないけれども、体験を通じて成果を出せる状態。「自覚・無能」は、成果の出し方は理解しているけれども、まだ成果を出せるスキルのない状態のことです。

前者の方が、早い段階で仕事ができるようになるのですが、継続的な成果を出したり、長期的視点で大きな成果を出すのは、後者です。ですので、現場で学べるから成長できるというのは事実ですが、それで安心してはだめなのです。

研修の重要性を理解している中小企業を選ぶことが大事だし、本当に教育環境がないのであれば、独学で理論を学び、実務とつなぎあわせてい行くことが大事です。この意識のある人は、中小企業で働くことが最適だと思います。

②自分の裁量で仕事を進めていきたい人  

中小企業に向いている人の特徴の2つ目は自分の裁量で仕事を進めていきたい人です。

なぜなら、中小企業では、以下の表のように決裁に関する環境の違いから、現場の社員に早い段階で決裁権や裁量権を持たされることがあるからです。もちろん、良くも悪くも人手不足という側面もあります。

※大手企業と中小企業における決裁に関する環境の違い

項目大手企業中小企業
決裁のスピード基本的に稟議が必要で、ものごとが意思決定されるまでに様々な人の承諾を得るため、時間がかかる。経営陣との距離が近く、トップダウンで決裁が下りるなど、ものごとが意思決定されるまでのスピードが早い。
裁量権裁量権があるかどうかは役職に紐づいており、裁量権を得るまでに時間がかかる。また、比較的ルールが厳格。役職に関係なく、経営陣に能力や実績が認められると、早い段階で裁量権を持つことも少なくない。

例えば、

・イベントの集客に関して、予算や方法を含めて、すべてを一任された。
・業務改善のために自分が提案した業務管理ツールが全社で利用されることになった。
・部門会議の企画から運営をすべて任されることになった。

など、人的リソースや物的リソースが少ないからこそ、環境によっては早い段階で自分自身の裁量権が大きくなります。

決裁においては、大手企業では必ず稟議が必要ですが、中小企業であれば、稟議を通さず、先に現場で決裁させてしまうということもあります。背景としては、経営陣との距離が近く、ものごとが意思決定されてスタートするまでの速度が非常に速いということがあります。

経営陣に能力の高さやリーダーシップ、実績が認められやすいという側面もあるため、成長するスピードに応じて裁量権が増します。自分の裁量で仕事を進めていきたい人は中小企業に向いていると言えるでしょう。

③幅広い仕事をしたい人

中小企業に向いている人の特徴の3つ目は幅広い仕事をしたい人です。

なぜなら、中小企業では大手企業とは違い、以下の表のように一人で抱える仕事の範囲が広くなることが多いからです。

※大手企業と中小企業における一人で抱える仕事の範囲の違い

項目大手企業中小企業
仕事の分担分業体制が整っており、社員それぞれが役割を果たすことで1つのプロジェクトが成り立つ。分業体制が整っておらず、特定の担当者に業務が偏ったり、1人で担当することが求められる。
業務の掛け持ち担当以外の業務を行うことはあまりない。そもそも担当業務が決まっておらず、余裕のある人、仕事のできる人のどんどん仕事が回ってくる。
例えば、

・総務経理という部署名の通り、経理業務だけでなく総務業務も担当する。
・新卒向けの会社説明会で、集客から会場の設営、進行、フォローまですべて1人で行う。
・営業担当者がWEB集客やリスティング広告などのマーケティング活動にも携わる。

など、担当業務の幅が広いのが中小企業の特徴です。

背景としては、人手不足もありますが、分業体制が整っていないということもあります。特定の業務の量や頻度が少ないため、専任者を置くことができないため、1人で複数の業務を掛け持ちする機会が多くなるのです。

分業には効率性を上げるというメリットはありますが、すべての業務、幅広い業務を自分で担当するからこそできる改善やチャレンジは多く、そこにやりがいを感じることもできます。

そういう点で、幅広い仕事をしてスキルの底上げをしたい人は中小企業に向いているといえるでしょう。

④早く経営に影響力を持ちたい人  

中小企業に向いている人の特徴の4つ目は早く経営に対する影響力を持ちたい人です。

なぜなら、中小企業では、大手企業と比べて以下の表のように昇進スピードや経営情報に触れる機会が違うからです。経営者や役員との距離が近く、直接話す機会も多いため、抜擢されたり、昇進されるチャンスも多くあります。

※大手企業と中小企業における昇進スピードに関する環境の違い

項目大手企業中小企業
昇進スピード昇進のルールが明確で、ルールを逸脱してスピード昇進することは難しい。突出した成果を上げれば、実績や能力を買われて、ルールに関係なくスピード昇進することもある。
経営情報に触れる機会役職による役割が明確で、役職のない人が経営情報に触れられる機会はなかなかない。役職がなくても経営会議に参加したり、決算書などの経営情報に触れる機会に恵まれることがある。
例えば、

・大型の契約を獲得し、一人で部門予算の半分以上を稼ぎ、目標達成に貢献した。
・業務フローの改善提案を行ったところ、生産性が大幅に上がり、リーダーに抜擢された。
・役職がないのに、実力を評価され、経営会議や経営者が集まる外部会議に参加することとなった。

など、突出した成果を出すことにより、評価が上がったり、抜擢されることがあります。

社員数が少ない分、一人ひとりが経営に影響する存在感が大きいのが中小企業の特徴です。能力を認められることでスピード昇進することもありますし、経営に近いポジションになることで、視野が広がったり、視座も高まったりします。また、役職がついていなくても、経営的な立場で話し合う場に参加するチャンスも少なくありません。

そういう点で、早く経営に影響力を持ちたい人は中小企業に向いている人材といえるでしょう。

【働く場所にこだわりがある人や転勤が嫌な人】
中小企業に向いている人の特徴とまで言うのは難しいですが、働く場所にこだわりがある人や転勤が嫌な人にとっては、中小企業は転職先として検討する価値が高いと言えるでしょう。

なぜなら、中小企業は地域密着型の事業を行っていて、転勤がないことが多いからです。新規事業の立上げ拠点が別のエリアや海外になることもあり得ますが、大手企業より可能性は低いでしょう。

例えば、
・親が高齢でどうしても実家に1時間圏内に帰れるエリアに住んでいたい。
・地元のクラブチームでの活動がライフワークとして重要なので、どうしても他エリアに移りたくない

など、転勤や移住をどうしても避けたい人も多くいると思います。
そういう方にとっては、転職の可能性が低い中小企業の環境が魅力的であることはあるでしょう。

ただし、長期的なキャリア形成を考えると、働くエリアだけで仕事を選ぶことが適切とは言い切れないこともあります。中小企業の検討する条件の1つとして捉えておくこととよいのではないでしょうか。

2.自分に合った中小企業を見極める際の5つのポイント

前章では、中小企業に向いている人の特徴について解説しました。転職先として、大企業ではなく中小企業を選ぶという選択は志向や仕事観によって大きなメリットがあることがわかっていただけたと思います。

しかし、中小企業で働くにはデメリットも存在しますので、転職を検討する際には、自分に合った中小企業を見極める5つのポイントを押さえておくことが重要です。

①社長の価値観や人柄

自分に合った中小企業を見極めるための1つ目のポイントは、社長の価値観や人柄が自分に合っているかどうかを判断することです。

社員との接し方組織運営に対する考え方経営理念など、あなたの価値観や志向とマッチしているかどうかを判断することが重要です。

例えば、「こんなはずじゃなかった」という転職失敗時の体験談として

・社長が超ワンマンで意見を言える雰囲気ではなかった
・社員に対する感謝やリスペクトが感じられなかった
・儲けることが第一で経営に対する理念がなかった
・社内の環境整備への関心が薄かった

といったことを聞くことがあります。

社長の価値観や人柄が自分の価値観と合っていないと、その企業はあなたにとって適切な転職先とはいえません。
面接時にすべてを把握することは難しいですが、社長の価値観や人柄が自分の価値観と合っているかどうかを探ることがとても重要です。

②仕事の内容や仕事への価値観

自分に合った中小企業を見極めるための2つ目のポイントは、仕事の内容や仕事への価値観が自分のイメージと合っているかどうかを判断することです。

仕事の全体像だけでなく、1日単位、1週間単位での業務量仕事の進め方自分の裁量権などを把握することにより、その企業での働き方が自分のイメージとマッチしているかどうかを判断することが可能です。
また、社員が自社の仕事の価値をどのように捉えているかも自分の価値観と照らし合わせておく必要があります。

例えば、「こんなはずじゃなかった」という転職失敗時の体験談として

・反響営業と聞いていたのに、飛び込み営業をさせられた
・基礎知識の習得に業務時間外での勉強が欠かせなかった
・経理事務と聞いていたのに、総務的な雑務のウェイトが大きかった
・お客様に誠実ではない対応を容認する企業だった

といったことを聞くことがあります。

仕事の内容や仕事への価値観が自分のイメージと合っていないと、その企業はあなたにとって適切な転職先とはいえません。

仕事内容が自分のイメージと違うと入社後に大変苦労しますし、強いストレスを感じます。そもそも入社直後はストレスが高くなりますから、少しでもストレスを軽減するために、仕事内容が自分のイメージと合っているかどうかを確認することが重要となります。

③求められるスキルや役割

自分に合った中小企業を見極めるための3つ目のポイントは、自分に求められるスキルや役割が自分の認識と合っているかどうかを判断することです。

入社後に身につけるべきスキル社内で期待される役割将来的に期待されているポジションなどを把握することで、求められているスキルや役割が自分の認識と合っているかどうかを判断することが可能です。

例えば、「こんなはずじゃなかった」という転職失敗時の体験談として

・論理的思考力が強く求められるのに自分は苦手だった
・デスクワークとはいえ、高いコミュニケーション力が必須だった
・プログラミング思考への適性が想定より低くついていけなかった
・苦手意識のあるリーダーシップを強く求められた

といったことを聞くことがあります。

求められるスキルや役割が自分の認識と合っていないと、その企業はあなたにとって適切な転職先とはいえません。

求められるスキルが高すぎても低すぎても入社後に大きなストレスがかかりますし、そもそも求められるスキルがわかっていないと、努力の方向性が見えず、活躍するのが難しくなります。
企業からの期待水準を確認する上でも求められるスキルや役割が自分のイメージと合っているかどうかを確認することが重要となります。

④評価のポイント

自分に合った中小企業を見極めるための4つ目のポイントは、評価の基準やポイントが自分の期待するものと合っているかどうかを判断することです。

評価される項目評価の仕方フィードバックの仕組みなどを把握することで、その企業の人事評価の基準が自分の納得できるものであるかどうかを判断することが可能です。

例えば、「こんなはずじゃなかった」という転職失敗時の体験談として

・最終成果だけが求められ、プロセスを評価してくれなかった
・社長の匙加減一つで昇給や昇進が決まり、社員の不満が鬱積していた
・そもそも評価基準がなかった
・評価のための面談やフィードバックの仕組みがなかった

といったことを聞くことがあります。

評価の基準やポイントが自分が期待するものと合っていないと、その企業はあなたにとって適切な転職先とはいえません。

評価の基準やポイントに納得感がないと、努力する方向性が定められませんし、組織や上司に不満を持つことになりかねません。入社前に、納得のいく人事評価が行われているのかを確認することは難しいですが、少なくとも、説明やフィードバックの機会を設けているかどうかは重要なポイントとなります。

また、中小企業においては、そもそも人事評価制度がないこともあり得ますので、質問により評価に関するルールや仕組みがあるのかどうかを確認することは必要ですね。

⑤組織風土や社風

自分に合った中小企業を見極めるための5つ目のポイントは、組織風土や社風が自分の求めているものと合っているかどうかを判断することです。

部門間の連携社内でのコミュニケーションの取り方業務外での社員同士の関わり方などを把握することで、組織風土や社風が自分が働きやすいと感じている雰囲気と違和感がないかどうかを判断することが可能です。

例えば、「こんなはずじゃなかった」という転職失敗時の体験談として

・縦割り組織で部門間のセクショナリズムが強かった
・イエスマンの社員が多く、現場で意見が言える雰囲気がなかった
・積極性や主体性が求められる風土になかなか馴染めなかった
・教えるという文化がなく、見て学べという古い風土だった

といったことを聞くことがあります。

組織風土や社風が自分の求めているものと合っていないと、その企業はあなたにとって適切な転職先とはいえません。

社内の人間関係や職場の雰囲気に違和感があると強いストレスや不快感を感じるものです。社風は実際に入社してみないとわからないことも多く面接の段階で判断するのはなかなか難しいですが、違和感がないかどうかを判断することはとても重要です。

3.まとめ

この記事では、中小企業に向いている人の4つの特徴と、自分に合った中小企業を見極める際の5つのポイントについて解説しました。

“中小企業に向いている人の4つの特徴”

①早く成長したい人
②自分の裁量で仕事を進めていきたい人  
③幅広い仕事をしたい人
④早く経営に影響力を持ちたい人  

“自分に合った中小企業を見極める際の5つのポイント”

①社長の価値観や人柄
②仕事の内容や仕事への価値観
③求められるスキルや役割
④評価のポイント
⑤組織風土や社風

 

大手企業と中小企業は、仕事の環境や仕組みの違いから、求められるスキルや特性、仕事観などが若干異なります。そのことをしっかり認識した上で、転職先を検討する際に役立てていただければと思います。

また、自分に合った中小企業を見極める際には、別記事(あなたにとって適切な転職先か判断するための面接時の逆質問20選)による逆質問も有効ですので、合わせて参考にしてください。

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