転職活動は、「企業にエントリーして履歴書を書いて面接を受ける」、という単純作業ではありません。成功させるためには、自己分析、希望条件やキャリアプランの設定、活動スケジュールの計画など、やるべきことがたくさんあります。
ここで紹介する業界研究と企業研究も、転職活動において外せない取り組みです。これから転職活動を始める人に向けて、業界研究と企業研究の意義や違い、取り組む際のアドバイスなどについて詳しく解説します。
業界研究と企業研究とは?
業界研究とは?
日本には細かく分ければ30種類以上の業界があります。業界研究は、転職を目指す人が、その中から自分が志望する業界について調べることです。業界研究では、主に以下のようなポイントを調べるのが一般的です。
- 業界全体の景気動向
- 業界の将来性
- 業界の強みや弱み
- 業界をリードする企業
- 業界の歴史
これらを調べることの意義は、より自分の理想やキャリアプランとマッチする業界・企業で働くため、という点にあります。1つの業界に対する漠然としたイメージを明確化することで、その業界へ転職する・しないの判断を、自信を持ってすることができます。
またその業界について深い知識を持っていることで、面接の際にアピールできる武器が増えることも意義の1つです。
企業研究とは?
企業研究と業界研究を混同している人がいますが、2つは別物です。企業研究は1つの企業について深く掘り下げてリサーチすることです。業界研究よりも狭く深く調べることが求められます。
企業研究では、主に以下のようなポイントを調べます。
- 企業理念
- 企業の沿革
- 業績(売上高、営業利益、資本金)
- 事業内容
- 成長性、将来性
- 注力している取り組み(CSRや働き方改革など)
そしてその企業に応募することが決まった時点で、募集要項などから具体的な労働条件を調べます。募集職種、給与形態、キャリア形成の仕組み、社風、といったことです。企業研究を入念に行い企業に関する知識をつけることは、業界研究同様、面接の際にアピールできる強い武器になります。
また転職後に、イメージと現実とのギャップによって後悔しないためにも必要な取り組みです。
どちらを先に取り組むべき?
転職活動では、業界研究→企業研究の流れで進めるのが一般的です。業界についての知識を持っていなければ、自分が理想とする企業を探し出すことが難しいためです。
例えば、生命保険の会社へ転職したい人が企業研究から始めた場合、深く調べられるのはせいぜい5社くらいまででしょう。仕事をしながらだと、もっと少ないかもしれません。ひとくちに生保会社といっても数十社の企業があります。調べられていない企業の中に、自分にマッチする企業があるかもしれません。
その点、業界研究から始めれば、リードする企業や急成長している企業の名前や特徴先に把握できます。つまり、企業研究に移る際に、自分にとってより魅力的な企業を見つけやすくなるのです。
ただし、すでに転職したい企業が明確に定まっている人は、企業研究から始めても問題ないでしょう。
おすすめの業界研究・企業研究のやり方 3つ
1.転職サイトの無料コンテンツ
ネット上には、特定の業界や企業に関する様々な情報が発信されています。中でも、転職サイトの業界研究や企業研究に関する無料コンテンツは、転職初心者にもためになる情報が充実しているのでおすすめです。
ただし、ネット上には信頼できない、嘘や誇張の情報があることもあるので注意しましょう。企業について不特定多数の匿名の人が書き込む「口コミ掲示板」や「評価サイト」を活用する場合は、特に注意が必要です。いくつかの情報を相対的に見て参考にすることがポイントです。
2.本・新聞・ニュース
業界や企業の動向は常に変化しています。「去年は堅調だった自動車業界が今年は前年比で大きなマイナス利益」ということも珍しくありません。できるだけタイムリーな情報をつかめるように、経済雑誌や新聞・ニュースなども活用するといいでしょう。
自分が気になる業界だけでなく、関連する業界(食品業界志望の人なら小売業界や総合・専門商社業界など)にもアンテナを張っておきましょう。より多くの情報を持っておくことで、「志望業界の動向や将来性をより把握できる」、「履歴書や面接で多角的な視点からのアピールができる」、といったメリットがあります。
3.セミナーや説明会
近年は転職ブームです。転職に関する業界研究セミナーや相談会を催す、企業や団体が増えています。また、企業の合同説明会も東京や大阪を中心に、定期的に開催されています。いろいろな業界の企業が参加するものから、IT企業のみが集まったものまで、種類も多様です。全国で開催されている合同説明会の情報をまとめたWebサイトもあるので活用してみるといいでしょう。
こうしたセミナーや説明会に参加することのメリットは、直接気になっていることを質問できることでしょう。キャリアコンサルタントや企業の採用担当者らから、ネットや書籍からではわからないリアルな情報を入手することができるはずです。
業界研究は、業界についての景気動向や将来性、活躍する企業などを広く浅く調べることです。企業研究は、1つの企業についての業績や事業内容、将来性、労働条件などについて狭く深く調べることです。業界研究の次に企業研究に取り組むことで、より自分にマッチした企業を見つけやすくなります。
またそれぞれ、転職サイトのコンテンツ、書籍、セミナーなどを活用するなど、いくつかの方法があります。これらを併用して、より多くの情報を得ることが大切です。情報が多いほど、履歴書や面接においてアピール材料になりますし、転職前のイメージとのギャップによる転職後の後悔を防ぐことにもつながります。
作成:尾崎 海(おざき かい)
東証一部化学メーカー(営業職)から転職を経てライターに転身。就活・転職活動で悩んだ自身の経験を活かし、求職者や仕事で悩んでいる人に向けた記事をメインに執筆中。
作成日 2018/09/10
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