
30歳での転職は遅いとか、35歳転職限界説とか聞くことがあるけれど、果たして自分の年齢で転職できるだろうか?、自分の年齢は転職における適齢期なのだろうか?などと転職における年齢のタイミングについて心配な方も多くいらっしゃることと思います。
でも、ご安心ください!
転職に最適な年齢というものは基本的にありません。
ただし、転職において、年齢に応じて企業から必要とされる役割というものはあります。そのことを理解していないと、年齢が転職を妨げる要因になる可能性があります。
今回の記事では、転職と年齢の関係、年齢ごとに企業から求められる適切な役割についてまとめたいと思います。
1.転職に最適な年齢はない
初めにズバッと結論を申し上げると、転職するのに最適な年齢はないと私は考えています。
なぜなら、20代でも、30代でも、40代でも、50代でも転職して成功している方は数多くいらっしゃるからです。もちろん、年齢が上がるごとに転職の難易度が増す傾向はありますが、転職できないわけではありません。
そんな転職と年齢の関係を知るためにも、この1章では、その根拠となるデータをご紹介したいと思います。
1-1 年齢別転職入職率 ~どの年齢でも転職は実現可能~
年齢階級別転職入職率(令和2年) | ||
年齢 | 男性 | 女性(パートタイムを除く) |
20~24歳 | 12.7% | 13.0% |
25~29歳 | 12.2% | 12.4% |
30~34歳 | 11.1% | 7.9% |
35~39歳 | 7.6% | 8.5% |
40~44歳 | 6.2% | 7.6% |
45~49歳 | 5.2% | 7.3% |
上の表の通り、男性では40歳を超えた辺りから下っているものの、各年齢層において確実に転職している方がいることがわかりますね。年齢とともに転職入職率は下っていますが、転職に限界年齢があるとは言えないようです。
※男性の60歳以降に数字が大きく上がっているのは、定年後の再雇用が寄与しているものと思います。
ちなみに下図は、同調査内の「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」です。転職理由を見てみると、20~24歳では「給与等収入が少なかった」、25~29歳、30~34歳では、「職場の人間関係が好ましくなかった」、35~39歳では「会社の将来が不安だった」という理由が上位にきています。転職理由(前職を辞めた理由)は年齢によって変わってくるもの。そのあたりも確認しておくと良いですね。
1-2 「ちばキャリ」ユーザーにおける転職年齢データ
こちらの円グラフは、直近1ヶ月で、弊社の運営する転職サイト「ちばキャリ」を通じて内定、採用になった方の年齢の内訳となります。30歳未満が約半数を占めてはいますが、年齢によらず、転職をしている方がいらっしゃることがよく分かりますね。
1-3 「ちばキャリ」ユーザーの年齢別転職体験談

弊社では、「ちばキャリ」を利用して転職に成功した方のインタビューを定期的に行っているのですが、様々な方の転職事例がありますので、こちらも参考にしていただければと思います。
■20代の転職事例
・フリーターから賃貸ルームアドバイザーになった方
・金融機関の窓口業務から営業職に移った方
■30代の転職事例
・設計士から品質管理に移った方
・営業からメンテナンススタッフに移った方
■40代の転職事例
・個人営業から法人営業に移った方
・設計職で業界を変えた方
転職するのに最適な年齢はありませんが、転職の際に年齢ごとに企業から求められる役割が存在します。その年齢に応じた役割が満たせない方は、逆に年齢が足かせになって転職がうまく行かない可能性があるのです。
自分の年齢で転職できるのだろうか?と不安な方は、次章以降で、自分の年齢に求められている役割を理解し、今の職場でその役割を果たせているかをチェックしてみましょう。
【公務員への転職は年齢制限に注意】
転職するのに適切な年齢はないとはいえ、年齢的な制限があったり、年齢に応じて転職の難易度が大きく増す業界や職種というものは存在します。
その代表が、公務員です。国家公務員は、一部の例外を除いて、概ね30歳が上限となっていますので要注意。20代の間から自分の将来像をしっかり描いておく必要がありますね。
また、地方公務員は、都道府県が25歳から39歳まで、市が25歳から59歳までと幅広いですが、30歳、35歳あたりが上限となっていることが多いです。各都道府県や市町村のHPなどで確認しておきましょう。
2.転職には年齢ごとに適切な役割が求められる
ただ、これらの役割は、企業目線での理想像といった観点もありますので、仮に今、この役割が果たせていないと思っていても転職を諦める必要はありません。企業の求める役割像を知ることで、今後のキャリアアップや転職に活かせる行動変化につなげていただければと思います。また、今、これらの役割を果たせているという方は転職時の大きなアピールポイントとして自信を持つべきでしょう。
①20代に求められる役割とは
20代というと、新卒や第二新卒といった社会人としてのキャリアをスタートしたばかりの方から入社10年未満の方が対象となります。この層に求められる役割は大きくは以下の2つです。
実務面で一人前の戦力となる
まずは実務面で、最低限一人前としての戦力となることが求められます。担当業務を着実にこなしてしっかりとした成果を上げることがファーストステップ。そして、入社3年目、4年目と経験を積んでくると、一人前以上の戦力としての活躍を求められてくるようになります。実務面で最前線に立って仕事をどんどんこなしていくということが期待されているのです。
ただ、実務面での成果に大きな期待をされている一方、この年齢層はまだまだポテンシャルが重視される時期でもあります。すぐに成長する人もいれば、成長に時間がかかる人もいます。今はまだ大きな実績を出していないようだけど、この後大きく成長しそうだ、そんなポテンシャルにも期待されています。
若さを強みに組織に活気を与える
業界や組織に長く所属していると、自分たちの常識に染まり、問題の本質を見落としたり、改善の一歩が踏み出せなくなっていたりすることもあります。若手の視点で、そんな常識を覆すといったことをしてくれると会社は強くなります。
※転職時に採用担当者が見るポイント
その上で、あまりスキルや実績が高くないということであれば、この後どれくらい成長するかといった伸びしろをチェックします。ここでは、仕事に対する向き合い方や意欲を始め、論理的思考力やコミュニケーション力など仕事の基礎的なスキルがどれだけ身についているかが焦点になります。さらに、どんなチャレンジをしてきたかという主体性なども評価のポイントになりますね。
また、組織に活気を与えるという視点では、前職で組織にどのような働きかけをしてきたことがあるのか、どんなチャレンジをしてきたのかということも質問したい項目となります。
②30代に求められる役割とは
実務面で中心的役割を果たす、リーダーシップを取る
実務での中心メンバーとしての役割が期待されていますから、20代以上に即戦力として具体的な成果やスキルが求められます。30代の活躍が会社の業績や利益に直結しますから、業務量や業務の質、業務改善、問題解決といった視点で突出した成果を出すことが求められていますね。
また、自分の担当業務をこなすだけでは物足りません。同僚や後輩に対してリーダーシップを発揮して、周りの実務レベルも上げていくという役割にも期待されています。
若手の育成、組織風土づくりに主体的に関わる
組織風土を作るという点においては、管理職と若手の調整役として対話の時間を増やしたり、自ら積極的に発言をしたりといった主体的な姿勢が求められます。
※転職時に採用担当者が見るポイント
また、後輩の育成という点では、組織やチームの中でどのような役割を担ってきたかもチェックポイントですね。
さらに、中小企業においては平均年齢が高くなりがちですから、30代には組織風土づくりの中心的存在になってほしいところ。本人の仕事観や会社をどんな組織にしていきたいかといった将来像も確認したいですね。
③40代に求められる役割とは
専門的なスキルを発揮する
組織(チーム)をマネジメントする
※転職時に採用担当者が見るポイント
中小企業においては40代というのは経営層にも近く、管理職、幹部の位置づけとしての採用を期待することも多いです。
入社後しばらくしたら1つの分野を任せたり、複数の分野を見る新しいポジションを築いたりと、どこまで一人で任せられるかも焦点となります。マネージャー的な視点、経営的な視点を持って働いてきたかということもとても重要ですね。
④50代に求められる役割とは
経営者的な視点を持つ
40代と同様に、組織(チーム)をマネジメントする役割が重要になりますが、より経営者的な視点が求められます。会社の向かうべき方向性や会社の取るべき戦略を軸に、どういった行動を取るのがベストなのかを判断していく力が重要です。
※転職時に採用担当者が見るポイント
3.年齢別、転職を成功させるためのヒント
①【20代】実務面で一人前の役割を果たす、積極的にチャレンジする
また、失敗の許されるこの時期に、新たなチャレンジをすることも大事。失敗経験や失敗からの改善経験は今後の社会人生活に必ずプラスとなりますので、失敗を恐れず積極的なチャレンジをしていきましょう。
②【30代】今の環境で大きな成果を上げる、組織運営に主体的に関わる
③【40代以降】経営者の視点、1つ上の役職者の視点で考える、行動する
積み重ねてきたものがあまりないという方は、転職はあまり考えず、今の職場で長く勤める方法を考えた方が良いかも知れません。
とはいえ、産業構造的に成熟度の高い業界や職種に就いている方、社内環境的にキャリアチェンジを強いられる方もいらっしゃる方もいるかも知れません。そういうケースにおいては、「学び直し」が重要です。違う業界で違うスキルを習得していくことを覚悟し、新たに学ぶということです。想定外の変化が起こる時代ですから、イチから学び直すという覚悟や決意も必要ですね。
4 まとめ
今回の記事では、転職には最適な年齢はないということをお伝えさせていただきました。
とはいえ、転職時に企業側から求められる役割を果たせることが重要ということもご説明したとおりです。
30歳、40歳、50歳と年齢を重ねるにつれて、転職のハードルが高くなることは事実です。年齢相応の役割を果たすためにも、今の職場での働き方、仕事との向き合い方がとても重要となります。改めて、自分の現状認識をするきっかけにしていただければ嬉しく思います。