せっかく出してもらった内定を辞退するのは、誰しも気が引けるものです。
しかし、連絡するのが嫌だからといって中途半端な熱意のまま入社を決めてしてしまうことは、自分にとっても企業にとってもマイナスでしかありません。辞退したい場合は、曖昧にせずはっきりとその意思を伝えることが大切です。ここでは、スムーズに内定辞退をするためのポイントをご紹介します。
承諾後の「内定辞退」は訴えられるってホント?
ネットなどでは、「内定を承諾した後に内定辞退したら企業から訴えると脅された」という体験談や噂などを稀に見かけます。転職活動中の人は、こうした情報を見ると不安に感じるでしょう。
ただ、内定辞退は決して違法な行為ではありません。法律では「解約の自由」が原則となっているため、企業は内定者が辞退しただけで訴えることはできないのです。
民法627条第1項では、以下ように定められています。
"当事者が雇用の期間を定めなかった時は、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において...終了する。"
ここで言う「各当事者」とは「内定を承諾した人」のことを指します。このように法的には問題がないので、しっかりと理由を告げて誠実に対応すれば、ほとんどの企業は快く承諾してくれます。
ただし、あまりに横柄な態度や騙すような形で辞退すれば、法的な責任を問われることもあり得ます。また、企業によっては「絶対に入社すると約束したじゃないか」、「今更辞退なんて認められない」などと激怒するケースもあります。
こうしたリスクを避けるためには、いくつかのポイントを押さえた上で辞退の意思を告げる必要があります。
内定をスムーズに辞退するためのポイント3つ
メールでなく「電話」で伝える
伝え方としてはメールがもっとも楽な方法ですが、社会人のマナーとしては電話が最善の方法です。
辞退する理由やこちらが申し訳なく思っていることを、声を通して伝えることができます。また相手からの意見や不満にもその場で答えることができるので、後腐れなく辞退することができます。
その他にも、電話での辞退のポイントをいくつか挙げておきます。
- 辞退の意思が決まったらすぐに連絡する
- 辞退の理由は「熟考した結果、大変申し訳ないのですが今回は辞退させていただきます」でOK(「第一志望ではないため」など、正直に言う必要はない)
- 電話する時間帯は、会社の始業・定時や昼休みを避ける
企業側の要望には可能な限り応じる
電話で辞退を伝えた際、企業によっては「直接理由を聞きたいので会社に来て欲しい」とお願いしてくるところもあります。こちらの誠意を示すためにも、こうした要望にはできるだけ応えるようにしましょう。
辞退の理由が給与や待遇などの労働条件である場合、直接それを伝えることで、再検討してくれる可能性も0(ゼロ)ではありません。
転職エージェントを通して伝える
転職エージェントに紹介してもらった企業である場合、その転職エージェントに内定辞退の連絡をすれば企業に伝えてくれます。ただし、エージェントを介す場合も企業に直接伝えるのと同様に、電話で誠意を持って連絡することは忘れないようにしましょう。
中には、「転職エージェントを使っていたけど、どうしても自分で直接伝えたい!」という真面目な人もいるかもしれません。しかしエージェントを介している場合は、独断で直接電話することは、むしろ不適切だと解釈されるケースもあるので気をつけましょう。
「内定辞退」を避けるためには?
内定辞退は合法ですが、自分にとっても企業にとっても極力避けたい事態であることに変わりありません。辞退するリスクをできるだけ避けるためには、内定を「保留」することが賢い方法です。
内定通知の電話があった際、すぐに承諾する必要はなく、回答を待ってもらう(保留してもらう)ことができます。複数の企業を受けている場合で、第一志望以外の企業から内定通知が来た時には、特に有効な方法です。ただし企業側にも都合があるので、原則1週間以内、遅くとも2週間以内には答えを出すようにしましょう。
また保留の理由を聞かれることもあります。その場合は、「第一志望の企業の結果待ちなので...」と正直に答える必要はありません。企業側に「ウチが第一志望じゃなかったの?」とマイナスな印象を与え、内定そのものがキャンセルされることもあるためです。「最後にもう少し考えたいので時間をいただけますか」と丁寧に伝えれば問題ありません。
作成:尾崎 海(おざき かい)
東証一部化学メーカー(営業職)から転職を経てライターに転身。就活・転職活動で悩んだ自身の経験を活かし、求職者や仕事で悩んでいる人に向けた記事をメインに執筆中。
作成日 2018/06/26
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