「リスクヘッジ」という言葉をご存知でしょうか。株式投資で頻繁に使われる言葉で、「リスクを回避・軽減するための備えをする」という意味があります。リスクヘッジは、転職においても必要な概念です。特に内定を勝ち獲って気が抜けている時期は、思わぬリスクによって、悲惨な結果で転職活動を終えてしまうことにもなりかねません。
ここでは内定後に起こり得る5つのリスクをご紹介します。
転職におけるリスクヘッジのための参考にしてください。

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内定後に起こり得る5つのリスク

1.仕事の引き継ぎが終わらない

転職活動に気を取られすぎて、仕事の引き継ぎのスケジュールをまったく立てていない人は少なくありません。業務の段取り・担当範囲の記録、取引先のリストアップ、必要な書類の作成など、いざ取りかかると時間がかかるものばかりです。また、営業職の人であれば、取引先に直接挨拶に行く必要があることもあるでしょう。
引き継ぎ業務は、最低でも1ヶ月前から進めておくことをおすすめします。引き継ぎが中途半端なまま退職してしまうと、自分が退職した後に、「全部丸投げで辞めやがって...」と前職での印象を下げることになります。

2.関係が悪いまま退職してしまう

1のリスクは、今の会社を円満に退社できないリスクも高めます。「どうせ辞めるのだから円満退社できなくてもいい」と思っている人もいるかもしれません。しかし、同じ業界の会社であれば、今後、その会社と何かしらの形で関わることがあるかもしれません。また良好な人間関係の繋がりを残しておけば、仕事以外の場面でも、私生活で役立つ場面がくることもあります。

3.スムーズに退職できない

内定をもらった後、「会社から引き止められてスムーズに退職できない」というのもリスクの1つです。大手転職サイトの調査によると、ミドルの転職時のトラブルとして最も多いのは、「企業からの強引な引き止め」(76%)であることがわかっています。これはミドルの転職に限ることではありません。20代〜30代前半の転職でも起こり得ることです。(参考:2016年エン・ジャパンアンケート結果

経営者や上司から、「今担当しているプロジェクトが終わってからにして欲しい」、「責任感はないのか!?」などと言われて、転職先への入社時期を延期した人も少なくないようです。最悪のケースでは、退職が認めてもらえず、内定を辞退しなければならなくなった人もいます。

4.雇用契約書を確認しないままサインする

内定後は、雇用契約書にサインするのが通常の流れです。喜びのあまりすぐにサインしたくなりますが、雇用契約書は絶対に入念にチェックするようにしましょう。面接や面談で聞いていた内容と、違う条件が書かれていることもあるためです。
「給料が年俸制だった」、「社会保険が揃っていなかった」、「勤務地が遠かった」など自分の希望条件に反した契約でないか、しっかりチャックすることが大切です。ここをおろそかにしてしまうと、「こんなはずじゃなかった」と転職したことを後悔するリスクにも繋がります。

5.家族から反対される

内定をもらうまで、転職することを家族に内緒にしている人は多いです。そしていざ伝えたときに、給料や経営の安定性、会社の将来性などの理由から、反対されてしまう人も少なくありません。
配偶者からの反対がなくても、自分の親や配偶者の親が反対するケースもあります。転職をきっかけに家族関係が破綻してしまえば、本当の意味での転職の成功とは言えません。「転職する前の時点で相談する」「信頼できる会社であることを十分説明する」など、伝え方に十分気をつけるようにしましょう。

最悪のリスクは「内定取り消し」

転職における最大のリスクと言えるのは、内定取り消しです。よほどのことがなければ内定を取り消されることはありませんが、過去に取り消された事例はいくつかあります。内定取り消しには主に2種類あります。「自分の責任で取り消されるケース」もしくは、「会社から一方的に取り消されるケース」です。
前者が起こり得るのは、次のような場合です。

  • 自身の経歴や保有資格などに関して嘘をついていた
  • 内定後、社会的に不適切な言動があった(SNSで誹謗中傷、など)
  • その他、契約書や会社との約束に反する行為があった

そして、後者が起こり得るのは次のような場合です。

  • 自分以外の他の応募者を後から採用した
  • 会社の経営状態が悪化し、新たに人材を雇う余裕がなくなった

これらの理由による内定取り消しは、リスクヘッジによって起こる確率を下げることが可能です。前者は、事前に気をつけていれば比較的容易に回避できます。後者は、転職活動で行う業界研究・企業研究にしっかりと取り組むことで回避できます。健全な企業であれば後から他の応募者を優先的に採用することはありません。
また経営状態については、四季報やホームページなどから企業の業績を分析したり、転職エージェントやキャリアコンサルタントに企業の実態について相談したり、といった取り組みを欠かさないようにしましょう。

「転職しないリスク」があることも忘れずに

内定後のリスクについて見てきましたが、「転職するのって大変なんだ...」と転職することに億劫になった人もいるかもしれません。しかし、近年言われている「転職しないリスク」についてもしっかりと考えておきましょう。
これからは、労働人口が減り企業が淘汰されていく、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)が人間の仕事を担っていく、といった変化が急速に起こる時代です。自身のスキルや経験を磨いて、柔軟に対応していく必要があります。そのための選択肢として、「転職」は有効な手段になるはずです。

千葉で転職

作成:尾崎 海(おざき かい)
東証一部化学メーカー(営業職)から転職を経てライターに転身。就活・転職活動で悩んだ自身の経験を活かし、求職者や仕事で悩んでいる人に向けた記事をメインに執筆中。

作成日 2018/08/29