様・御中、行・宛の違いとは？宛名でも敬語を正しく使おう

転職活動で応募書類を郵送する時、あるいはメールで企業とやりとりする時、宛名を書く際に「様・御中」といった敬語を使うことがよくあります。ビジネスシーンでも使われることが多く、用法を間違えると社会人としての基礎が身についていない人物とみなされてしまうことも。

ここでは宛名でよく使われる敬語表現について、正しい使い方と注意点について解説していきます。

宛名で間違えやすい敬語の使い方

ビジネスシーンでは、手紙やメールを送る際の宛名にさまざまな敬語が用いられます。一つひとつの使い方が身についていないと、つい混合してしまうものばかりですので、まずは正しい使い方を覚えましょう。

様・御中

ビジネスシーンでも、プライベートでもよく使われる敬語が「様」です。「田中様」「鈴木様」など、もっとも一般的に使われている敬称です。「様」は個人に宛てて使うことができる敬語で、目上の人でも目下の人でも、相手を問わず用いることができます。

「様」は漢字で表記されるのが一般的ですが、カジュアルな関係性でやや砕けた雰囲気の手紙・メールを送りたい場合には、「さま」「サマ」とすることがあります。「田中様」「鈴木様」のように漢字ばかりが続くと読みづらくなることを嫌い、「田中さま」「鈴木サマ」と書くことも珍しくありません。漢字とひらがな（カタカナ）のメリハリをつける意味で、「さま」「サマ」が使用されている例です。

「様」は個人に宛てた敬称なので、会社や組織に対して使うことはできません。「株式会社千葉キャリ様」とするのは誤りなのです。その代わりに使うのが「御中」という表現です。会社の中の特定の部署に宛てて手紙・メールを送る際にも「株式会社千葉キャリ 営業部 御中」のように使います。

行・宛

返信用封筒によく書かれているのが「行」という表現です。書類などを送った相手に、必要な書類を返送してもらいたいという場合には、返信用封筒を同封するのが一般的です。

その返信用封筒にあらかじめ宛名を書いておく際に、本来「様」「御中」を使うべきところで「行」と記します。相手が宛名を書く手間を省けるよう配慮する意味合いがあるわけですね。

この返信用封筒を受け取った側は、「行」の文字を二重線で消して、その横や上に「様」「御中」を記載してから返送するのがマナーです。

「宛」の場合も、「行」と同じように対処すればOKです。「宛」の字を二重線で消して、その横や上に「様」「御中」を記す。修正ペンや修正テープを使う必要はありません。

転職活動では、特に「様・御中」に注意

転職活動で特に気をつけたいのは、「様・御中」の使い方です。履歴書・職務経歴書を送付する際には、添え状にも封筒にも宛名を書く必要が出てきます。そこで正しい敬語を使えないと、採用担当者にいらぬ悪印象を与えてしまうことになるでしょう。

具体的には、「様と御中を二重に使ってしまう」という誤りが散見されます。「株式会社千葉キャリ 営業部 御中 田中太郎様」のような書き方です。一見すると違和感がない表現のように思えるかもしれませんが、宛名の中では「様・御中」を同時には使いません。

会社名や部署名だけであれば「御中」、具体的な担当者名もわかる場合には「様」を使いましょう。採用担当者の名前がわからない場合には、「株式会社千葉キャリ 人事部 御中」または「株式会社千葉キャリ 人事部 採用ご担当者様」のように表記すると良いでしょう。

中には会社や部署名+「御中」という宛名を失礼だと感じる人もいますので、できるだけ「様」を使うように心がけるといいかもしれません。

敬語の使い方を間違ってしまった時は...

封筒や添え状で「様・御中」の使い方を間違ってしまったらすぐに新しい封筒・添え状を用意するようにしてください。ここで二重線を使って消したり、修正テープを使って直したりするのはマナー違反。

決して大きな出費にはなりませんので、封筒や添え状の紙は多めに用意して予備を確保しておくといいですね。

では、メールを送信してしまった後に、「様・御中」の使い方を間違っていることに気づいた場合はどうしたらいいでしょうか？一番の理想は、気づいた時点でお詫びメールを送って、間違いを正すことです。

「先ほどのメールにて、誤った宛名をお送りしてしまいました。大変申し訳ございません。」のような文面がベストです。敬称をつけ忘れた場合にも正直に伝えることはせず、間違った宛名を送ってしまったことに謝罪することがポイントです。

宛名のミスに気づかないまま企業からの返信が届いた場合には、あえてメールを遡って謝罪する必要はないでしょう。できれば敬称の間違いや抜けが発生しないよう、メールや手紙を送る前に入念にチェックしておきたいところですね。

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